2015年4月16日
akira's view 入山映ブログ 解散までに
お読みになった方も多いと思うが、6月14日の朝日朝刊7面オピニオン耕論は「日本の官僚に未来はあるか」と題して飯島勲・長妻昭・保坂正康三氏のコメントを掲載した。このうち、飯島、長妻両氏の議論は現在の二分する世論傾向を典型的に表現しているように思う。保坂氏のそれはいわば是々非々で、さして情報の量は多くないようにお見受けした。
長妻氏の議論は民主党の主張そのもので、官僚と族議員の馴れ合い、あるいは相互不可侵条約をぶっこわさないかぎり、本来政治家がやるべき仕事を官僚がやっている今の日本の姿は変わらない。それには自民党ではだめで、民主党が政権を取る他はない、という例のスローガンである。
これに対し飯島氏は、公務員の組織や人事でいじめる「役人いじめ」をしても、時の政権の言う事を聞く官僚だけを幹部にすえようというのであれば、情実人事がまかり通る「超発展途上国」になるだけの話で、役人を使いこなせる政治家こそが必要だという。公務員の待遇改善への言及もある。
端的に言ってしまえば、民主党の言っていることはごもっともだが、この党にそれだけの力量ありや、という話と、今の自民党のていたらくは小泉後の歴代総理が統治能力を失ったことに諸悪の根源がある、という話だ。小泉政権下の豪腕秘書として鳴らした飯島氏の言い分にも説得性があるし、永妻氏の議論も国民の鬱屈した不満を代弁していることは事実だ。
あの人がやってくれれば、という具体的な提案はない。もちろんそんなものがお手軽に存在すべくもない(あるいはあったにしても飯島氏が口にするとも思えない。長妻氏はもちろん鳩山さんだが、これがどれほどのものか、知る人は本人を含め誰もいない。)のだが、そうすると、多少危なっかしいかもしれないが民主党にやらせてみるか、自民党の自浄能力に期待して政権党に座り続けさせるか、という選択しかない、と言っているに等しい。
誠に不毛の選択としか言いようがないのだが、いま一つ、どちらも過半数をとれなくてどこかと連合を組む(もっともありそうなシナリオであるし、口を開けて待っている相手まで見えてきそうな気がする)ことになったら一体どうなるか、ということだろう。だとすればこの何ヶ月かの間に必要なのは精神論や官僚たたきではなく、いうところの政官(それに財)癒着構造なるものを打破する手始めの具体策ではないか。
その最たるものが外郭団体整理、前例踏襲予算見直しによる冗費削減の具体的提言。これには今回補正を含む全予算の事業棚卸しが肝要になる。場合によっては事業官庁を全廃するくらいの意気込みがあっても良いのではないか。各党共同で、対立点は両論併記で臨めば2ヶ月でかなりのことはできる。現にいくつかの省庁については既に行われているところもある。出来なかったところは今後の継続と目標期間について各党が合意すれば良い。目安箱ならぬ whistle blower (表現は陰惨だが内部告発)も欠かせまい。役所施策にラバースタンプを押しているだけのナントカ委員会、審議会のたぐいを全員入れ替えたらもっと仕事は速くなる。これくらいのことが出来ないようでは、所詮空念仏をまた聞かされたに過ぎない、というものではないか。世界最大の赤字比率を誇る国としては、この程度の意気込みは当然のことだと思うのだが。
2009年 06月 15日