2015年4月20日
akira's view 入山映ブログ サイバー大学
小泉改革の一環として「構造改革特区」で学校法人以外に株式会社でも大学が設置できるようになったのは記憶に新しい。筆者の知る限り5校ほどが開校。そのうちの1校であったLEC大学が応募者定員割れで募集停止に追い込まれた、という。これを受けて朝日(6.18朝刊12面)は山上浩二郎編集委員の署名入り記事で「株式会社参入再考を」と題し「大学の設置認可行政は、(中略)「事前」より「事後」のチェックで、質を保つ方針に変わっていた。認可前にリスクを感じても設置基準に反していなければ認めなければならなかった。」「会社は利益を上げて、それを株主に配当しながら事業を続ける。それができなければ破綻だ。株式会社立大学の場合、学生が来ず、利益も上がらず、採算がとれなければ破綻ということになる。」「学校経営への株式会社参入の是非がもう一度、議論されるべきだろう。」と結ぶ。
認可行政が「事前」から「事後」の質のチェックに変わるのは大変結構な事だ。公益法人の認可が、現行法のような出来るか出来ないかも解らない事業内容を、やたら煩わしい書類の山を作らせて「事前」にチェックしようとしているのに比べれば、「事後」に言い値の通りの事業がなされているかどうか質をチェックする、というのは極めて望ましいことである。さらにいえば、学生が来なければ破綻するのは株式会社立に限るまい。もう、とうに破綻している筈の大学が、在学生がいるから、というだけの理由でずるずる存置されているのも一校や二校ではない。だから問題は株式会社立かどうかではなく、経営のコンセプトがしっかりしているかどうかだ。既存の大学より、新設の株式会社立を選ぶ理由がどこにあるのか。失礼だが、応募した挙句募集停止に追い込まれた生徒さんたちには、自己の選択についての応分の自己責任を取っていただく他はないのではないか。それを、官僚統制の復活こそが望ましいと天下の朝日ともあろうものが書くのはいかがなものか。
その点、筆者が教えている株式会社立サイバー大学は(手前味噌のようで恐縮だが)経営コンセプトがはっきりしている。名の通り、サイバー、つまりインターネット上にしか存在しない大学だから、全国(正確に言えば全世界)どこからでも応募・学習できる。引きこもりだろうが、身体に不自由なところがあろうが、故郷を離れて生活する余裕がなかろうが、全く問題ない。のみならず、正規の学士号取得経費が(コンピューター経費を除けば)260万円強と安価である。目下のところ法律や経済を専攻したい人には向かない学部構成だが、これは将来的にいかようにでも対応可能だろう。在学生がいるから、という理由だけで学校が閉鎖できない経営者の方は、ぜひサイバー大学に生徒をお譲りになって、さっさと重荷を軽くなさればよろしい。と、なんだかサイバー大学のコマーシャルみたいになったが、真意はそこにはない。お役人の手になる審査、許認可よりも、民間の経営コンセプトに信をおく方がはるかに質が高まるし、効率も良いと言いたい訳だ。消費者側に応分の責任はかかってくるが、それが過大にならないようにするのこそがお役人の仕事だろうと思う。
2009年 06月 19日