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2015年4月24日

akira's view 入山映ブログ 手詰まり感

 手詰まり感が深い。解決すべき方向は見えているのに、さっぱりそこに行き着く道筋が見えてこないという状況が世界に充満しているということだ。颯爽と登場したオバマ大統領も、中東情勢、核拡散、国内経済問題、いづれをとっても快刀乱麻という訳にはゆかないようだ。もちろん問題のどれ一つをとっても、そんな目の覚めるような解決策がある筈もないのだから、ここはじっと我慢の子だということかもしれない。プーチン氏はじっと巨大な穴ごもりをきめこんで、敵失をひたすら待つという姿勢のようだし、逆に中国はいづれ崩壊は時間の問題だ、と見られていた経済発展が存外長持ちしていることもあって、国内格差の破壊的表面化を回避することに専念できているようだ。EUも、自分の腹の痛まない限りは、国際舞台で格好の良い台詞まわしの機会さえあればすかさず一言ある、という伝統的なスタイルを固持している。

 元はといえば、民主主義と市場経済という厄介な、しかしそれしかない選択肢を(程度の差こそあれ)受け入れたプレーヤーたちの集まりが世界の主流なのだから、南北格差さえ適度にコントロールできていれば、まあそこそこに安泰だ、という共通認識があるのだろう。だから怖いのは市場の破局と言うダモクレスの剣だけで、それをどう馴致するか、それも出来ればよそのクニがより痛みを感じるようなやり方で折り合いを付ける、というハラの中を洗練されたレトリックを駆使した主張・論法の多用によってその場を凌ぐ、という事態が続く。手詰まり感が出るのも当然と言えば当然だろう。フクヤマではないけれど、本当にこれが人類にとっての究極の到達点であるのならば、ことは手詰まり感といかに折り合いを付けるか、逆に言うと極端な原理主義の台頭をいかに制御しつつ穏やかに日々を暮らすか、ということにならざるを得まい。

 怖いのはダモクレスの剣だけだ、というのは実はやや単純化が過ぎるようで、それと同時に手詰まり感を共有しつつ平穏裡に暮らす、という選択肢を、様々な理由から断固拒否するという「横紙破り」にどう対応するか、というのも悩みの大なるものだ、という側面もある。「横紙破り」は何も将軍様やアルカイダには限らない訳で、様々な形での復古主義、ひらたくいうと民主主義と市場主義よりも、自分の意のままになっていたかつての世の中を再生産したい、という人々もこれに属する。これは何も海の向こうにまで視線を巡らせなくても、公益国家独占主義の申し子のような日本のお役人体質がそのものずばりなのだ、ということに気づく人が意外に少ない。これが時として使命感と手を携えて出現するのをわれわれは何度も目撃している。

 世の中右や左にブレるのは民主主義の常だ。ついでにいえば市場経済の要諦でもある。だからバランス感覚が大事になる訳で、古典落語ではないが、硯を摺って筆に含ませて、胸に一本黒い線を引く。それより深いところに行かなければ溺れないよ、という話だ。わが国の政・官・財の癒着。目に余るもたれ合いの末の官僚の自己統治能力の欠如。そろそろ胸にひいた線を越えかかっているのではないか。ならば、そろそろ海岸の方に引き返す潮時ではあるまいか。

2009年 06月 25日



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