2015年4月28日
akira's view 入山映ブログ お役人
29日の日経朝刊「春秋」が、この欄にしては珍しく厚顔無恥な役人とそのお取り巻きに対する怒りを、事例を示しながらストレートに糾弾している。要するにお役所や外郭団体などのお取り巻き組織が主催や共催をしているシンポジウム、ワークショップのたぐいが法外な参加費をとったり、それに企業から賛助金をとったり。はては現職官僚への高額な講師謝金、という、あちこちで起こっている、例によって例のごとき構図の話だ。官が一枚噛んでいるからよけい悪どいか、といえば必ずしもそうではない。高額の参加費をとる「会議」では、陰に陽に、誰かがどこかでうまい汁を吸う仕掛けでもあることは周知の事実だ。日経新聞といえば、様々な業界団体や企業とこのテのシンポジウムを共催する(1面に社告がでることが多いからすぐ解る)メジャーなスポンサーの一つなのは誰でも知っているから、「春秋」子がそんなことを昨日今日気がついた訳もない。してみるとお耳に入ったのがよほど悪質な事例だったのだろうか。
中央・地方を問わず、お役人のお仕事のやり方については、いろいろもの申すことが多いのは争えない。さてこそ、経費節減の後に増税議論をしてよね、という素朴な庶民感情も起ころうというもので、これを低次元の話だ、金額的にモノが違う、みたいな玄人議論をしたがる人も少なくないが、当たらないというべきだろう。それがどれほどひどいものか、については上記の「春秋」も結構だが、若林亜紀というジャーナリストが幻冬社新書で出した「公務員の異常な世界」を一読されることをお勧めする。200ページほどの小冊子だが。まあ唖然とする事例の目白押しだ。著者は暴露本にありがちな下品さを「寸止め」で回避しているあたり、結構な技巧派とお見受けした。
ま、この辺りの話は、やっている人を含めて知る人は知っている話なのだが。こともあろうに自民党の行革本部長が、「悪いことをするのはノンキャリア。上に行けないから職場の中で法にないことをしてしまう」「上級職を通った人はよほどのことがないとそういうことに手を染めない」(6.20朝日朝刊39面)と発言する。まさか本気でこんな認識をお持ちだとは思わないが、アウシュビッツで実際にユダヤ人に「手をかけた」看守だけが悪いやつで、上級士官、まして将軍・総統は「そういうことに手を染めない」という理屈がどれほどまやかしであるかは、もう既に歴史の中で検証済みだと思ったのだが。
2009年 06月 29日