2015年5月20日
akira's view 入山映ブログ どっちもどっち
解散から一週間も経たない裡に、民主党必勝、というより自民党必敗という熱気のようなものが少し衰えたかのごとく感じられた。要するに自民党の迷走ぶり、あるいは総理の「存在の耐えられない軽さ」(7.1)ぶりが日々の報道として耳目に触れなくなった、ということだったのかと思う。ところが、久々にお伺いした麻生さんのコメントなるものが(新聞報道が正しいと仮定すれば)高齢者は働くしか能がない、みたいな発言だったという。後の本人の弁明を含めて好意的に考えれば、だから高齢者の再就職先に特段の配慮を、ということになるのだろうが、別に首相在任中であるかどうかは別にして具体的な提案があったわけではなし。まあ、高齢者向けのリップサービスが日本語の至らなさで逆効果になった、という例によって例のごとき話であったのかもしれない。これでまた必敗ムードが元に戻った感なきにしもあらず。そうでなくても惨敗が予想されている自民党としては、麻生氏の発言、あるいは大衆へのエクスポージャーは最小限にされるのが、被害を最小限にとどめる最善の策のように思われてならない。
と思ったら鳩山さんの方も相当なもので。「閣僚委員会」や「行政刷新会議」で官僚主導から政治主導へと転換する、という。これを聞いて大喜びしているのは他ならぬ官僚諸氏だろう。本気になって官僚にたてつく民間人なんている訳もないし、あの程度の(民主党の)政治家を御するのは容易いことだ。名を捨てて実を採れば、この難局はごく実害なく乗り切れる、と考えたことだろう。まあしかし、鳩山さんの意気込みは結構だし(何より与党に先駆けてマニフェストを出したという勇気は賞賛されるべきだ。じゃんけんは後だしが有利に決まっている。)、官僚主導政治の転換というのは現在日本の悲願に近い。冷やかすよりはその意気をこそ評価すべきだと思わないでもない。しかし、あの老獪かつ強かな官僚集団を相手にこれほどナイーブな信念の吐露というのは、能天気な前首相のコメントと軌を一にするところがないではない。まして、首相退任後は政界から身を引く、なんていうのは結構な話だが、事前にコメントすべきものではないように思う。
この人にならば日本の舵取りを任せよう、任せたい、と思われる人不在のままに選択をしなければならない、というのはかなり不幸な事態だ。しかし、現在日本の諸悪の根源が、あるいは根源のうちの最たるものが「官僚」主導の社会運営にあるのだから、どちらを選んだ方が少しはマシになるか、という選択は不可能ではない。しかし、そこで忘れてはならないのが、官僚に代わって、「誰」が社会運営の任に当たるのか、という点だ。それが民主党の代議士なのか、新たに民主党の選ぶ「学識経験者」なのか、あるいはその連合なのか。それとも別のチャンネルで意見・要望をとりまとめようとしているのか。それを見据えてからの一票になる。
2009年 07月 28日