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2015年6月12日

akira's view 入山映ブログ 選挙(5)

 選挙の翌日、知日派として著名なジェラルド・カーチス教授が外国特派員クラブで早くも今回選挙結果の論評をするという。期待して出かけてみたら、果たせるかななかなか刺激的な内容であった。その概略を二回に分けて紹介してみたい。彼の分析には同意できる点も、そうでない点もあった。が、前回ブログで触れきれなかった点にも言及されていただけに、彼の意見に対する筆者の賛否はともかく、論点を全て紹介するのが主旨だ。

 彼に言わせると、第一に今回選挙結果は、不人気な自民党首相のもたらしたものではない。不人気だ、支持率が低いという点では森・竹下の方が麻生を上回っている。そして第二に、仮に民主党政権が失敗に終わったとしても、これまでの体制に戻ることはあり得ない。今回の選挙結果は小選挙区制度のもとでは、かつての集票マシンを中心とした政治構造はもはや存立しえないことを意味する。第三に、向こう4年間は衆議院選挙はない。現状を超えることがあり得ない選挙を行う政治家がいる訳がない。のみならず、もともと民主党に対する期待が高いのが勝因ではないのだから、期待が裏切られて解散せざるを得なくなるという事態は考えられないという。

 そもそも自民党大敗の理由は、先の集票マシン依存型選挙から脱却していないことの他、その副産物として、国民(選挙民)が何を望んでいるかという事態の把握ができなくなってしまった。利益誘導以外は考えることを放棄したというに近い。だから、地方にゆけばゆくほど自民党政治に対する不満は強い。ピカピカの公民館や立派な道路が欲しいのではなく、高齢化に伴うきめこまかな介護、少子化に伴う行き届いた手当、といったニーズが喫緊のものである、ということすら感知する能力を欠いてしまった、というべきであろう。これは全てとは言わないまでも、ほとんどがタテ割り行政と癒着した政策形成の結果であり、政官癒着の最大の罪はここにある。今回の惨敗はこうした旧い自民党の体質を一新するよい機会だと思うが、比例代表による敗者復活はその可能性を多いに削いだといってよいだろう。

 再度繰り返せば、自民党敗北の基本的要因は、政治家と官僚の癒着あるいは同盟関係にある。これを象徴的に表現すれば、政権党というイメージあるいは用語が存在せず、与党が全てを仕切っているという意識が支配的であったと言い換えても良い。その典型例は閣外の党三役の存在だ。党と政府が一致していないことが常態化していたといってよいだろう。(続く)

2009年 08月 31日



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