2015年6月19日
akira's view 入山映ブログ 化石
同じ昆虫に生まれながら、庭に飛んできて愛でられる蝶々や蜻蛉もいれば、追い払う対象にしかならない蛾とか蚊もいる。本人(?)にしてみれば生まれついた運の悪さを嘆くしかあるまい。他方、時世時節によって好かれたり嫌われたりする生き物もいる。典型的なのは鴉で、森に棲んでいる頃には童謡にもしょっちゅう登場するくらいの人気だったが、巷に住み着くようになってからというもの人気はガタ落ちだ。
人間世界で言えば、化石のような政治家というのもあんまり見たくない種族に属する。史上五指に入る不人気で退場しながらキングメーカー気取りで出没する方とか、タレント知事にすり寄って袖にされた方、はては二院のうちの一つはオレが仕切る、とでも言いたげな方。その意味では、今回自民党が首班指名に当たって白紙投票を決めたというのは、歴史的大敗に学んだ最初のレッスンかもしれない。あれで首班指名に間に合うような後継総裁選びに、したり顔で化石が登場したりしていたら、この党は救い様がなかったからだ。
小沢一郎という政治家にも化石の要素を見る人は少なくない。さればこそ幹事長就任を巡って、党と政府の二元化を憂える、といった主旨の論調も少なくなかった。が、それは的外れというもので、彼がその気になって民主党を牛耳ろうと思えば、役職が何であるかなどということに関わりがあるとは思われない。善かれ悪しかれ民主党が稀代の豪腕政治家を指導層に抱えているのならば、その事態を直視してそれを前提条件と考える以外に途はある筈もない。民主党に化石の例を求めるならば、小沢氏以外にももっと適切な例が沢山存在していることもある。
化石を通り越して馬鹿馬鹿しいくらい無思慮無反省なのが農林水産省のお役人だろう。民主党政権誕生前の駆け込みの天下りが、実は玉突きで、対象人員は報じられたものの数倍に及ぶことが明らかになったようだ。もっとも、これあって民主党の外郭団体整理が現実味十分になったのであってみれば、農水省のお役人たちは身を挺して民主党マニフェストの正当性を立証したのかもしれない。玉突きは当事者団体相互間の話であって、農水省は関与していない、と強弁するに至っては、これで世の中通る、とお考えになっているのだろう。とても蛾や蚊の比ではない。
農水省だけが能天気なのではない。天下りだけが「霞ヶ関支配」の象徴ではない。それを実証し、是正してゆくのは民主党の最大の使命の一つだ。気負って、あれもこれもとなりがちなのではあろうが、天下りと外郭団体を征伐しただけでも民主党政権成立の効用は十分存在するといってよい。外郭団体の為に作られたともいえる恥さらしな公益法人制度改悪にまでメスが届けば、いうことはないのだが。
2009年 09月 06日