2015年6月26日
akira's view 入山映ブログ 厚労省
9月13日の朝日新聞朝刊1面は、民主党政権発足前の「駆け込み」天下りならぬ、厚労省の外郭団体に対する「駆け込み」業務委託契約の複数年度化を報じる。報道によれば雇用開発協会という独立行政法人に対して、年間500億円の交付金が支払われ、OB雇用の為に支出された金額がそのうち少なくとも22億円。各都道府県をあわせると、天下り総数はは275人という。しかも、(ここが一番大事なところなのだが)この法人のやっている仕事というのは、およそ屋上屋のそしりを免れず、存在意義が極めて疑わしいという。厚労省所管の外郭団体が幾つあるか判然としないが、この百倍以上の税金が浪費されていることは明らかだ。これまでのマスコミが報じた例というのは九牛の一毛(数十毛?)で、これを全省庁に拡大して考えれば、民主党のいう10兆円近い財源が瞬時にして捻出されることはほとんど自明であり、政権交代の効果でこれほど見やすいものはないだろう。
ということは、永年にわたった政官癒着構造の錆落としは、本気になって取りかかればどれほどのものが出てくるか。民主党の手腕力量に大いに期待がもたれる。そんなお掃除よりは、外交政策、あるいは景気回復の為の施策の方が遥かに重要だ、と賢しらな議論が多い。もちろんそれも大事だが、どんでもない借金財政の改革に向けて、消費税を始めとして納税者に負担を求めるのが止むないことであるのなら、こうした「離れですき焼きを食べている」状態の是正は、理屈抜きに先行すべきだろう。こと一身上の利害に関わることについては、官僚の良心とか、国家的使命に関わる禁欲的態度などというものが、期待すべくもないことが、民主党政権誕生前の一連の「駆け込み」で明らかになったのは、なんとも悲しいことだが、少なくともそうした事案に関しては、政権党が摘発的スタンスで臨むのはやむを得ないだろう。徒に官僚を敵視するのは愚策で、有能な官僚を使いこなして始めて政治家だ、という議論の正当さを認めるに吝かではないが、ことはそんな高尚な次元の話ではない。
再建の途につくであろう自民党も、自らの治世の下で何が起ってしまっていたかを謙虚に反省する姿勢が望ましい。間違っても、こうした摘発の姿勢に対して抵抗勢力になるとは思いたくないが、いかなる美名のもとであれ、そんな態度をとるようなことがあれば、全く将来はない。既得権益の上に胡座をかく、というのは官僚の第二の天性だから、それを責めてみても仕方がない。むしろその性癖にブレーキをかけ、鞭を振るうべきだった政治がその機能を果たさなかった。意図してか意図せざる結果であったかについては問うてみても大して生産的ではない。その機能の復権をこそ期待したいし、信じたいものである。
2009年 09月 14日