2015年6月29日
akira's view 入山映ブログ 厚労省(2)
連日同じ話題で、このブログはいつから不祥事摘発の報道紹介番組になったのか、とご指摘を受けそうだが、政官癒着といわれる現象は、別に例外的に不心得者が発生している訳ではなく、構造的に慢性化、問題意識が決定的に麻痺している結果なのだ、ということをしつこく指摘してゆきたい。今度も厚労省だが、構造は昨日のケースとほとんど同一だ。何の役にも立たず、税金をトンネルさせるだけの機構を作る。そこに高官が天下る。トンネルして流す受け手の方には、おおむね小者が天下る。受け手の方はさすがに多少の社会的機能を果たさないではないが、およそコスト意識もなければサービス精神もない。裏金作りが主要機能(コスト意識があって裏金ができる訳がない)だといわれても仕方がないようなのが多い。
今度のケース(朝日9.14朝刊1面)では、精神障害者の就労施設の運営管理の他、障害者の就労環境、その支援策などについての調査研究の委託が名目だというから、社会的弱者救済につけられた予算が天下り高官のお小遣いになった、というタチの悪さは言語道断なものがある。さらに問題なのは、内部調査で不明朗な資金の流れが明らかにされた後も、何の手も打たれないで今日に及んでいる、という点だ。お役所の「事業」については、その成果・プロセスなどについて「評価」を行うこととされている。しかし、誰に評価させるかは多くの場合、発注者である当該のお役所が決める。なれ合いを避ける意味で競争入札などのシステムをとっているが、評価結果について、評価プロセスの中で発注者からさまざまな注文がつくことも常態化している。だけではなく、その結果がいかにフィードバックされたかについてはほとんど情報が公開されていない。およそ業務改善の意欲に欠ける発注者が行う「評価」などは、三文の価値もないといってよいだろう。だから、会計検査院の検査の他に、各省庁から独立した評価機構(これが民間非営利組織であることが望ましい。もちろん天下りなどは受け入れない。)を作り、全事業を対象に評価をしてその結果を公表する位のことをやらないと、モグラたたきに終始する可能性は大だ。
前例踏襲をこととするお役所に「事業」めいたことをさせない、というのが知恵の筈だ。それが民間に委託する、お役所の外に出す、というはずが、いつの間にか天下りを受け入れ、お役所と同じエトスで「大過なく」仕事をする外郭団体に仕事をさせる、という体制に化けてしまっている。競争のない既得権益、権力は腐敗する、というのは歴史が証明している。民主党政権には、小手先の一罰百戒みたいな措置に終わらないで、お役所管轄のフィールドの事業執行体制を根本的に設計変更してほしいものだ。
2009年 09月 15日