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2015年6月29日

春の夢-4 荻野彰久 荻野鐵人

「今さっき手前が裁判長に申し上げましたのは実はあれは嘘でございます(しばらく被告は言葉を途切らして)実はその、手前は中気で三年も床に就いたきりの全く動けない身でございます。どうして女なぞ囲うことができましょう?」
「手前には実は子供が三人居るのでございます。一番上の娘はセキツイカリエスで六年間も仰向きに寝たままで三度の食事すら他人の手を借りなければならない始末でございます。二番目の娘はまだ学校途中でございますが、店を継いでくれるはずの一人しかいない息子は、家業である魚屋だけは絶対にいやだと強情を張っているばかりか、どうしても『東大』へ入るのだなどと十二年も浪人生活を続けているのでございます。さっきも申し上げましたように手前は動けない病人でございますから、当てにしていた息子が魚屋という職業がいやだとなると、勢い店は他人ばかりを使ってやって行かなければなりません。ところが御存じの通り、手前どものやっているような小さい魚屋という商売は、高い給料を払わなければならない他人の手のみに頼ってやっていけるほど儲かる商売ではございません。その上それ相応の税金も納めていかなければなりませんし……」



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