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2015年7月3日

akira's view 入山映ブログ スカラ座(2)

 余りのドン・カルロの素晴らしさに、二度聴いてしまった。二度目はタイトル・ロールがラモン・ウ゛ァルガスに代わってスチュアート・ニールだったが、男性的な色彩のより濃いニールの方がむしろ適役だったように思う。堪能したことはいうまでもない。70年代のMETでお目当てのパヴァロッティの出来が今ひとつ。こんな筈はないと、彼のボエームを二度聴いた経験はあるが、一週間の間に五時間を超えるオペラを二度も聴くという経験はおそらくこれが最初で最後だろう、その挙句、フリットーリの素晴らしさに、彼女のリサイタルに新国にでかけまでした。これまた期待に背かぬ熱唱で、前半モーツアルト、後半ヴェルディと中心にしたプログラムに、アンコールに「歌に生き、恋に生き」とアドリアーナ・ルクブルールという大アリア二つを以て観客の熱狂にこたえた彼女も素晴らしかった。

 それにしても人口6千万人に満たないイタリアが、フリットーリをはじめ、勝れたオペラ歌手を輩出している比率は群を抜いている。これがアメリカやロシアなら解らないでもないが、やはり伝統の力とでもいうべきなのだろう。伝統といえば、文科省が伝統芸能に助成金や補助金を支出するのには何とはなく同意する人も、これが西洋音楽に対するもの、となると国民的合意はどんなものだろう。挙げてヴァイオリンやピアノのお稽古に励んだり、あのチュチュを着たさのバレエまではよいとして、歌手、ましてオペラとなるとどんなものだろう。必ずしも国民的合意によっているとはいい難いような国立オペラ劇場にまで天下り先を見つける官僚のいやらしさというのは、これも民主党になんとかしていただかねばなるまい。

 そういえばフリットーリの共演を勤めたのが東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団だった。日本のお家芸である弦の強さに支えられ、それなりの演奏をしていたのは見事だった、日本のオケの最大の弱点である金管も、最近ではさすがにとんでもない音を出すことは滅多にない。かつてチャイコフスキーの四番だけは日本のオケには無理だろう、といわれていたのに較べれば隔世の感がある。しかし、これほどの数の交響楽団が国内に存在していれば、税金頼りには自ずから限界があるのもまた事実だろう。そうなれば、自分たちの手で支えてゆく、いわば「われらの街のオーケストラ」とでもいう方向は一つの有力な選択だ。それが営利を目的としていないことが自明であってみれば、民間非営利活動の一つの典型を提供するものになる筈ではないか。それを、今回の公益法人制度改悪は、収入が支出と一致せねばならぬとか、収支差額の組織内蓄積は許さぬとか、およそ愚劣な役人の論理で縛り上げた、先にも触れたが、民主党政権には、文化政策の一環としてでも、この馬鹿げた公益法人制度をなんとかしてほしいものである。

2009年 09月 20日



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