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2015年7月7日

akira's view 入山映ブログ お役所仕事(2)

 お役所仕事の罪状を摘発するのに熱心な民主党政権のやり方を、片手落ちだ、優秀な官僚のモラールを低下させるものだ、という意見も見られるが、賛成できない。さもしい、としかいいようのない「駆け込み」天下りや、税金に寄生する公益法人については先にもこのブログで触れているので繰り返さない。(ついでにいえば、公益法人といえばそんなイメージしか浮かばない結果、まともな公益法人はいい迷惑をしている。それが結果として官僚制度に利益をもたらしているというのだから、何をか言わんや、という側面もある。)そういう破廉恥としか言いようのない罪状以外に、本来のお役所の仕事の中に、度し難い先見性のなさ、というより、昨日の通り今日も。今日の通り明日も。という身に染み付いた職業倫理のようなものこそ、抜本的に見直されるべきものだろう。特に「現業」を抱えた国土交通省、厚生労働省、文部科学省などにその傾向が顕著なのも当然といえば当然だろう。

 八ッ場ダムや消えた年金は有名だが、文科省とて例にことを欠かない。補正予算に登場してキワものムダ遣い予算の最たるものだといわれた小学校への電子黒板配布にしても、実は平成19年度から委託調査を行って、着々と準備を進めていたことは余り報道されていない。ちなみにこれは「先導的教育情報化推進プログラム」の一環であり、決して思いつきのバラ撒きなんぞではない、確信犯である。これに善意の(と信じたいが)大学の先生たちが群れ集ってよいしょをする。どこにでも見られるありふれた風景だ。役人というのは自分たちが無用にならぬよう仕事を作り出す、と故人は喝破したが。今の小学校教育の重点課題が「先導的情報化推進」だと考えているとしたら、ピントが狂っているとしか言いようはあるまい。

 教育についていえば、基本問題については「昨日の通り」で、小手先だけ気の利いたことをやりたがるのは、小学校の電子黒板や英語教育だけではない。この国の高校・大学教育が悲惨な状況になっていることをご存じないのか、それとも悲惨な状況に放置することに利益を得る人がいるのか、それは知らない。ただ、今を去る四十年以上前、70%だった高校進学率がいまやほぼ100%。29%に過ぎなかった大学進学率が。ほぼ50%と、社会において高校や大学という組織の持つ意味それ自体、換言すれば高卒・大卒の持つ意味が大幅に変わった今日、まさか「学士様ならお嫁にやろか」のメンタリティで高校・大学の行政を行っているとは思わないが、それに近いものがあるのではないか。文科省(には限らないが)役人の問題提起、それにすりよる学識経験者、という構図は、民主党にメスを入れてほしいものの一つだ。

2009年 09月 23日



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