2015年7月21日
akira's view 入山映ブログ 政権交代
誰の言葉か忘れたが「政治は女を男に(うろ覚えで、反対だったかもしれない)変える以外のことは何でも出来る」というのがあった。ことほど左様に政治力というのは強大だ、ということだ。この何十年か、その強大な力が、およそ常識や並の平衡感覚を超えたところで利権作りの為に行使される以外、それを実感することはなかったといってよい。四国に三本橋をかけたり、関西に三つも国際空港を作ったり。数え上げれば両手両足でも足りないようなこうした愚行が、どれほどの人の懐をどんな形で潤したか。官僚組織がこういう馬鹿げた事態の発生を押しとどめるべく努力をしたという話は聞かない。それどころか、真っ先かけて旗を振り、おこばれならぬ美味しいところを召し上がった向きも決して少なくないようだ。
鳩山政権発足わずか一ヶ月。この政権は久しぶりに、政治というのはその気になれば破天荒と思われるようなことが出来るのだ、というのを実感として国民の前に示してくれているように思う。持ち慣れぬ手に政治の櫂を取ったのだから、ぎくしゃくしたり、素人っぽかったりするのは当然だろう。しかも、意図しているところが永い目で見れば日本にとってプラスかどうか、判然としなかったり、大風呂敷の超大型国債依存型予算に成り果てるおそれとてなしとしない。しかし、とにかく新鮮で、透明だ。政治家が何を考えて、何をしたがっているのか、リアルタイムで有権者の眼前に展開している感じがある。もしかして政治というものへの信頼回復が日本にとっての大きな課題であったとすれば、この政権は目下のところ疑いもなくそれに成功しつつある、といってよいだろう。
おそらくは、これに引き続いて切り込み不足だったお役所の日常業務についての「行政仕分け」が公開されることになろう。ブラックボックスのかなりの部分が始めて有権者の目に触れることになる。そして政治主導の国の運営がどんなものか、その頃には明らかになっている筈だ。その結果が素晴らしいものである、換言すれば、選挙によって選ばれた人々は、この国の運営を全ての意味で付託するに足りる人々であった、という認識が国民に共有されていることが望ましい。しかし。もしかしてそのあたりに若干の問題が発生したとしても、この政権が落としにかかっている昔年の錆には見るべきものがある。まさに時代が要請した政治であるというべきだろう。
四年後に政権交代が起るかどうか、神ならぬ身の知る由もない。しかし、これほどのパフォーマンスの後で自民党が復権するのは容易なことではなかろう。それともただひたすらに敵失を待つのかな。
2009年 10月 15日