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2015年7月23日

akira's view 入山映ブログ 収支相償

 収入と支出の差額が企業でいえば利益、家計でいえば余裕とか貯蓄とかいうことになる。なんていうと、何をいまさら幼稚園児でもあるまいに、と叱られそうだ。企業の経営者に支出は収入を下回ってはいけない、なとと言ったら、正気ではないと(差別用語でないことを祈る)いわれるだろう。家計がこれをやれば、消費低迷を抜け出そうとする英雄的行為として、鳩山さんから賞状でも貰えるだろうか。

 ところが、収入と支出がぴったしかんかんなのが理想的で、少しでも余ったら「不要額」として召し上げられ、翌年度予算査定の根拠から外される、というのが官庁の単年度予算主義だ。節約なんぞするよりどんどん使った方がトクだし、お役所の下請けをしたことのある「業者」の方なら、1円切手を何枚か買って、予算と決算をぴったしかんかんにして経験をお持ちだろう。

 お役所がこれをおやりになっている限り、年度末のムダ遣いを別にすればまあ、目をつぶれないではない。ところが、これをこともあろうに民間組織にも要求する、というのが今度の「公益法人改革」だ。(これを「収支相償」という)およそ有機的に機能している組織体(going concern)がこんなことをやっていたら、遠からずつぶれてしまうのは火を見るより明らかだ。このしばりがあっても痛くも痒くもないのは、毎年きちんとお役所から予算を頂戴している寄生虫「外郭団体」くらいのものだろう。

 そういう目で10月18日日経朝刊1面の「内部留保「ためすぎ」3割強 厚生労働省所管の公益法人」を読むと、いろいろなことが見えてきて面白い。所管する約1000の公益法人のうち、税金を使っているのが398(約4割)。この比率を公益法人2万6千にあてはめれば、少なくとも1万にはなる。仙谷大臣がんばってください。そのうえご親切にも、収入と支出の差額の累積(内部留保である)は「事業費と管理費、それに固定資産取得費の合計」の30%以下が望ましい、とおっしゃっているそうだ。個別の法人の事情を全く顧みることなく全て一律、というのはお役所の得意技だが、何がおかしいか、気付くだけの感受性は持ち合わせていないのだろうなあ。

 最後に一つダメを押しておこう。およそ有機的な組織たるもの、営利組織であれ、非営利組織であれ、経営(management)を必要とする。収支とんとんにしろ、などとバカなことを言われては経営もへったくれもないだろう。そんなものの必要がなくて、昨日の通り今日もまた、みたいなしごとさえしていればよい(それでさえ満足に出来ないところが多いのは衆目の認めるところだ)お役所盲腸外郭団体はこの際対象にしていない。お役所仕事の悲劇は、(というより日本国民に取っての悲劇は)ろくに仕事をしないお身内にあわせて、元気のよい柔軟な組織の活力を奪っていることだ。新しい公益法人制度改悪は一日も早く改めなくてはならない。

2009年 10月 19日



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