2015年7月30日
蜘蛛-(7) 荻野彰久 荻野鐵人
更にまたそれとも、素晴らしく魅惑的な新しい目標を見付け出し、後生大事に見詰め続けて来た従来の古い目標に、突然不条理な倦怠を抱き始めたと言うのだろうか?
さらにそれとも、テーブルの上の水槽とは全然別な、ずっと以前から見詰めていた目標が何所かにあり、そこへの道は遥かに遠く険(けわ)しいために、後は一気にそこへ殺到するためのここでのしばしの休息――こんな場合のほんの短い時間の休憩ですら肉体ばかりでなく精神にとっても全く予想だにし得ないほどの素晴しく驚くべき成果、たとえば銃口をこめかみにぴったり押しつけたピストルの引金を今まさに引こうとする絶望者すら、自殺から解放することだってありうるものだが――なのだろうか?
それとも隙をねらって相手に襲いかかろうとする腹黒い陰謀なのだろうか。
という様々な疑問を彼は、見る人の頭の中に描かせるのだった。
いずれにしても関節という関節を一切硬く折れ曲げた極めて緊張に満ちた窮屈な姿勢ではないか!