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2015年8月5日

akira's view 入山映ブログ フランス紀行

 ブログをお休みしていた十二日ほどの間、フランスにいました。日仏の文化交流を行っているフランスの財団が創立二十周年を迎え、数々の記念事業を企画した中に、創立時の日本人財団理事をパリに招待する、というプログラムに参加した訳です。往復旅費と四日間のホテル代が支給されるという結構なプランで、創設当時の理念や人脈を大事にする姿勢は、とかく前任者の路線を一ひねりして新味を出すことに偏りがちな傾向が多い中で、招待されたからほめている訳でもないのですが、心温まる素敵なことだと思いました。

 ご即位二十周年記念ほどではないにしても、記念事業は盛りだくさんでした。講演会や茶会など数多い企画の中で、ハイライトはツトム・ヤマシタのパーカッションと、大徳寺僧侶の声明の共演(といってよいのでしょうか)に尺八・横笛をあしらった公演を、なんと中世のカトリック教会の大聖堂で行なう、という破天荒な企画でした。これは富永重厚財団理事長の日仏両国における広汎な人脈あって始めて成立した企画ですが、それについても、今回の創立時理事招待にみられるような、人とのであいを大切にする、という彼の理念も預かって力あったのだと思います。

 このパフォーマンスは三度行なわれましたが、一回目は関係者だけのためにギメ美術館(登用美術の収集で著名。館長さんは同財団の理事です。)で、大聖堂での二回の公演のうち一回は純日本人による構成。もう一回はアイルランドのカウンターテナーとレバノンの女性歌手を絡めるなど趣向も豊富だったのですが。ぎっしりと満員の聴衆がつめかけました。それも、マスコミでの派手な紹介はわざと避ける(どこの宗教にも原理主義的な一派は存在します。異教の儀式とも受け取られかねないリチュアルをカトリックの教会で行なうことについて、カトリック当事者が示した深い理解に対する、富永理事長の配慮だったと言ってよいでしょう。とかくマスコミに報道されることが事業の評価だなどと思い込んでいる財団関係者も少なくない中で、知性の深みを感じます。)という奥ゆかしさも流石というべきでしょう。

 ツトム・ヤマシタの素晴らしさについては、改めて述べるまでもないと思います。このところ在来のドラムなどの楽器を離れて、サヌカイトによる演奏しか行なっていない彼ですが、今回は特別に在来の楽器を使って、リストではありませんが、彼の超絶技巧の片鱗を聞かせてくれたのは嬉しい驚きでした。僧侶の声明の透明感は息をのむものがあり、声の良い人を選りすぐってお連れになったのですかと管長様にお伺いしたところ「心が綺麗だから声もきれいなのです」とのことでした。

 財団という市民社会組織のあり方については、いくつかの論点が考えられます。創立時理事とは財団関係者に他ならず、そんな人々を記念行事参加のためにわざわざ大枚を払ってパリに招待する、などというのは「お身内」偏重の企画で公共性の上から問題がある、という指摘も可能でしょう。例えば悪名高い天下り外郭団体が、お花見で同じようなことをしたと考えてみてください。これに対して筆者は、こうした自由度の中から文化というのは生まれるものだ、と考えていることを述べるに留めて、この話題にについてこれ以上は触れません。それよりも、パリを離れて、プロヴァンスに過ごした日々と見聞などについて、何回かに分けて書いてみたいと思っています。

2009年 11月 13日



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