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2015年8月7日

akira's view 入山映ブログ フランス紀行(3)

 ヴェルディの歌劇「椿姫」(ちなみに日本ウェルディ協会はこれをラ・トラビアータと呼ぶことに統一するそうです。原題は「道を踏み外した女」という意味である他、劇中に椿なぞは一度も出てきません)で父親が傷心の息子を励ます「プロヴァンスの海と陸」は、バリトンのアリアの中でも最も良く知られているものでしょう。素敵なところに帰っておいで、という歌です。あまり詳しい事情も知らず、「プロヴァンスの12ヶ月」という本がベストセラーになったと聞いても、別に読もうという気も起こさなかったくせに、南仏というイメージ(これはコートダジュールとか、それにまつわるアラン・ドロンの「太陽がいっぱい」、さらにはマリー・ラフォレを始めとするフランス女優という程度のものですが)と一緒になって、空青く、水の美しい日差しいっぱいの豊饒な土地、といった思い込みを勝手に持っていました。あの地方のことを少しでもご存知の方なら、筆者の無知をこの辺りで既にお嗤いになることでしょう。

 プロヴァンスというのは岩だらけのやせた土地。オリーブくらいしか育たない貧相な緑。いわば「わび」「さび」の世界なのだ、と中村先生は言います。豊かな大農業国フランスにあっては、たしかにそんなイメージなのだろうとは、今回旅してよく解りました。そのやせた土地にアルプスからローヌ河に沿って吹き下ろすミストラル(フランス国鉄の誇る特急にこの名前のついたのがありました。さしずめJRの「はやて」かな)が吹き付けます。それに逆らって地面に張り付いているのがオリーブとぶどうだという印象です。ローヌ渓谷一帯はなかなか良いワインが出るのですが、それと共に、数百万本といわれるオリーブの畑も目に留まります。日本でもこのごろ人気がでてきたオリーブですが、黒いのとグリーンのがあるのは、あれは種類が違うのだろうと思っていたのですが、そうではなくて、早摘みがグリーンで、晩摘みが黒いのだと今回の旅行で始めて知りました。

 ところで、プロヴァンス第一の産業は観光だと聞きました。もちろん欧州全土のみならず、世界中からの訪問客によるものなのですが、それにしてもある地域で観光産業が筆頭だというのはどういうことだろう、と思います。もちろんたいした産業がない、農業所得が低い、などなどの要因があるのは解りますが、それにしても観光ビジネスが第一位だというのはただごとではありません。日本では観光関連産業はGDPの0.1%に過ぎない、というのも異常と言えば異常ですが、地域挙げての観光に対する意思の集積があるのだと思います。風物・景観の保全から、ホテルやレストランのサービス水準の確保、さらにはあらゆる客層の要求に応えられるソフト面の多様さなど。観光カリスマなどという愚かなものを創って観光政策だと思っているどこかの国とは取り組みの深さと広さが違うといってよいでしょう。

2009年 11月 15日



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