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2015年8月18日

akira's view 入山映ブログ 事業仕分け(5)

 11月24日、東大など9大学の学長が、事業仕分けによる科学予算削減は世界の潮流に逆行する、という共同声明を発表した。明治34年、時の桂内閣の対露「軟弱外交」に憤慨した法科大学(現在の東大)七教授が、日露戦争主戦論をぶちあげた(これに対する伊藤博文の酷評は有名である)を何やら彷彿させるが、もちろん今度のそれは大学の研究それ自体に関わるものであり、同列に論じる訳にはゆかない。ただ、9学長の中には社会科学ご専攻の方もお見受けするだけに、この単純明快な声明の含意に疑問をお持ちにならなかったのか、いささか驚きである。

 驚きというのはこうだ。一国の科学政策が重要なことは論をまたない。速効性がないから、経費対効果が判然としないから、といって何でもカットしてよい筈がない。それが世界の潮流であろうがなかろうが、科学政策、教育政策が重要なことは改めて論ずるまでもないし、事業仕分けというスキームがそれを否定するものである訳もない。それが混同されたかのごとき声明に読めるというのはいかにもナイーブではないかということだ。先に(11.21「事業仕分け(4)」)も指摘したように、政策目的遂行のためのツールというのは万能という訳には参らない。万能を目指して、あるいは万能とはゆかないまでも、ある政策遂行の具体案の効率性と、政策目的そのものの当否を同時に判定するのはムダであり、非効率である。その限りにおいては、事業仕分けの目的と限界をはっきり認識しない議論はいらざる副産物を生む。事業仕分けに拠って醸成される国民世論が、本来の仕分けの境界領域を超えることに危惧を感じての声明だろうとは思うが、事業仕分けが政策目的の是非を問うているといわんばかりのトーンには違和感を感じる。

 仕分けに限らず、これまでの政策意思決定過程を根っこのところからぶちこわそう、という民主党の姿勢だから、その具体的な手法に就いては、為にする議論を含め、さまざまな異論が発生することは想像に難くない。世論に問う、というのが基本精神の民主党には、この点で一抹の危惧がないではない。政治信念と世論動向の乖離、というのは永遠の課題であり、とてもこのブログごときで取り扱えるテーマではないが、不退転の決意が求められる局面がある、ということは、口当たりの良い一般受け(換言すれば世論)だけでは事は進まない、ということだ。既得権益とかvested interestsというのは、いつも「天下り」とか厚顔無恥な開き直り、といった禍々しい仮面を付けて登場するとは限らない。その意味でも、世論対策のために質の良い御用学者を政権の周りに数多く抱えておくことの重要性は、民主党政権だからといって例外ではない。

2009年 11月 25日



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