2015年8月24日
akira's view 入山映ブログ 事業仕分け(6)
それこそ毀誉褒貶の甚だしい事業仕分けだが、この程度の成果で打ち止めにする訳には参らない。というのも第一に、国の事業のうち今回取り上げられたのは2割に満たない。ということは、まだあの何倍もの事業がスクリーニングにかけられることなく漫然と行なわれている、ということを意味する。思うだに恐ろしいではないか。仕分け人なんぞよりは国会運営の勉強が先だ、などといって新人を投入しなかった民主党だが、小沢幹事長殿直々の御指南で今ではさぞかし識見豊富におなりになったことだろう。今度はぜひ大量投入されて、残りの魑魅魍魎を短期間のうちに明るみに出し、第二、第三の連舫さんを輩出してほしいものだと思う。仕分け人選出の正当性を問う、などという世迷い言には耳を貸さず、勇猛心をもって邁進してほしいものだ。
第二に、限られた時間の中で、限られた案件だけを扱ったのだから仕方がないが、今回の成果はまだまだ甘い。一例を挙げれば、外務省案件で廃止が適当だとされた国際問題研究所(国問研)。もちろん大甘の予算を削るのは結構だが、外務省関連の天下り外郭団体の中では国問研の仕事の内容は、まだマシなほうなのは衆目の認めるところだ。およそ呆れ返ってモノもいえないような団体で外務省から年間何億円という委託金をもらっているところが他に沢山ある。筆者の好みではないが、内部告発(whitsle blower)のようなものを考えてみても良いのではないか。浅田次郎氏描くハッピーリタイアメントとJAMSは財務省に限った話ではない。もっとオソロシイ話が、国際開発援助に関してもゴロゴロしている。ことは外務・経産に限らないことはいうまでもない。
そして第三に、この作業をキワモノ扱いしてはなるまい。このままの姿が良いかどうかは別にして、政策決定過程、予算策定配分過程を公開・透明化したことの意義は大きい。何でも公開すれば良いというものではないし、効率効果一本槍で全てが決定できるとは思わない。しかし、この作業のどこに問題があって、どのように改善すれば良いか、そのアイディアが合意されるまでは、断固継続すべきだと思う。もともと事業仕分けという手法は私見によれば地方自治体にこそ適したものであって、必ずしも国の施策に適用する手法として最善だとは思わない。にもかかわらず、このプロセスが日本の政治過程に及ぼした影響力は類いないものだと思う。これを育てることこそあれ、一過性のものにしてはならない。
民主党が逆風にさらされる時期が来るのはほぼ確実だろう。しかし、この手法だけは国民全員の意思によって継続すべきだ。それが出来なければ、民意とか、マスコミとかいわれるものには三文の価値もない。
2009年 12月 01日