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2015年8月28日

akira's view 入山映ブログ アフリカ(2)

 前回の続き。なぜアフリカなのか。もっと言えば、先頃からの予算編成議論でも明らかなように、日本国民の切なる要望さえ満足にはかなえられない中で、なぜ発展途上国にオカネをまわさなければならないのか。この質問には、実は正面切って答える定番の回答は用意されていない。おそらくは、極めて規範的性格の強い回答、つまり、それは人類の義務だから、あるいは他人の生存に関わることは無視すべきではない、といったものから、極めて功利的なもの、つまり、そうすることが長期的に見て利益になるから(市場が出来て購買力が増加する、隣国から難民がなだれ込んでこない、等々)というものまで、いく通りかのものがあろうし、またそれらはそれぞれに説得力もある。

 しかし、経済外部性の内部化、つまり本来市場の原理とは関わりがない、とされてきた別の側面からする要請が本来の経済活動の中に取り込まれる、あるいは取り込まざるを得なくなる現象は、われわれが既に目の当たりにしている。古くは幼児労働から最近の環境問題、さらにはCSRといわれるものまで。とすれば、途上国援助もその一環として捉えることも十分に可能であり、そうすることによって先の問いへの回答はより容易になると言ってよいだろう。

 他方途上国、あるいは支援を必要とする国、というのも様々だ。のみならず、国という単位にこだわること、つまり援助対象を国という単位に限定すること自体、二重の意味でかえって事の重大さを見失わせる、という側面がある。いうまでもなく、ことは十六世紀以来の国家主権(sovereignty)概念に起因する。いかに自国内に問題があろうとも、外国にじかに内政干渉のようなことをされたら、それは容認する訳にはゆかない。人道支援団体といい、二国間開発援助といわれるものが、主権国家の承認を得て、その同意の下に行なわれているのはこの事実による。ところが、内政に混乱を来しているいわゆる破綻国家のような場合、難民が隣接する国家の難民キャンプに避難している、その難民の国籍にこだわった援助が無意味なことは解り易いだろう。のみならず、ある国の政府が腐敗・混乱の極みにあり、その結果国民が塗炭の苦しみにある時、その政権経由でなければ援助が出来ない、という事態を考えれば事情は明らかだろう。

 だからといって、民衆、あるいは市民にのみ着目することにも、それなりの短所は存在する。ひとつにはその規模がどうしても小さくなりがちなことで、それ自体には問題はないが、合成の誤謬、つまり部分的には正解であっても、総体的には誤り、という事態を招きかねない。貯蓄は個人にとって美徳だが、可処分所得が全て貯蓄にまわって消費に向かわなけれ経済はダメになる、というケインズの例示はその典型だ。さらには、それが結果的により広い地域に目が向かないで、一国特有の事情に左右されるという話もある。と、総論を述べているうちにアフリカには行き着かなかった。いづれ次回に。

2009年 12月 07日



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