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2015年8月28日

「精神と芸術」座談会 (2)


―健全なる精神と健全なる身体―
出席者 亀井勝一郎・島崎敏樹・丸山薫・斎藤玉男・荻野彰久
(東京 荻野邸にて)

丸山 太宰君の事ですが、今、亀井さんの云われた事で思い当る事があるんです。彼は学校は怠け者だったんです。講談本など、鞄につめて、それを読んでいる。それで僕なんかにこういう事を云ったんですよ。僕はコタツに当って、塩センベイをポリポリ食べながら、つまらんものを読んでいるのが一番楽しい。そう云うことは誰でもそういう時間があるでしょうが。けれど、だいたい亀井さんが云われたように、あの人は放っておくと、何も思わないような、そんなふうな健康を持っていたかもしれませんね。今、一寸そういう事を思い当りましたので。
亀井 作品の中から見ますと、あの人は道化の仮面を被って何時もにぎやかにして人を笑わせたけれど、それを取ると云うとまるで、自分を失っちゃって。
島崎 あれは、そういう仮面を付けっぱなしにして置くからでしょうか。
亀井 彼は、ああいう津軽の非常な旧家に生れておりますが、島崎藤村なんかそうですが、ああいう旧家に生れていますと、非常に倫理的な面と淫蕩的な面と、両方ありますね。だから、太宰君の場合は、自分の中に淫蕩な血が流れているという自覚があって、現に2、3人の女の人と心中しようとしたり自殺しようとしたことが3回位もある。そこから来る罪悪感見たいなものを、そのままの形で出さずに、それと表裏一体となって棘の意識と云う方法を見出したり、ことさらに他人にサービスしようとした。「汝の隣人を愛せよ」と云うスローガンが彼の創作の中にありますね。その背後には暗いものがあるんじゃないかと思う。しかし、不断の付き合いの上ではすごく健康ですよ。
島崎 非常に明るい人ですね。
亀井 ええ、面白い人物でね。



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