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2015年9月2日

「精神と芸術」座談会 (5)


―健全なる精神と健全なる身体―
出席者 亀井勝一郎・島崎敏樹・丸山薫・斎藤玉男・荻野彰久
(東京 荻野邸にて)

島崎 亀井さんのおっしゃった孤独は病的ですね。そういうような状態でないともの(・・)が出来ない。それは本当だと今でも思っています。最近の状況から云いますと、以前は詩人が詩を書く場合には、一人で部屋に籠って、あるいは山に入ったりして、夢を自分の作品に書いた。近頃の若い人は銀座の街にまぎれ込んでジャズをかけたりにぎやかに騒ぎながら、そこで孤独の詩を書く。逆説的に。最近のわれわれの生存状況の違いではありませんか。本来あるべき人間像と云うものが裏返しになってしまう。

斎藤 この頃の若い詩の書き手はそんなことありませんですか?
丸山 島崎さんのおっしゃる事は良く分ります。はっきりは私、つかめないんですが、そういう青年は居りますね。そういう気はしますね。
島崎 作曲家なんか、ほら、黛敏郎なんか、ああいう人達は非常に賑かに付合い、ワアワアやっている。そんな中から、ああいう電子音楽が生まれる。しかもあれ非常に孤独なそういう逆説的な印象を受けます。
亀井 つまり、酒なんかを飲んでいるとだんだん酒が強くなる。都会なんかでは何か自分の作ろうとするものと関係のない強烈な刺戟がないとね、こちらも逆に精神の抵抗力が出来ないという事があるのではないでしょうか? 何か刺戟がないと、静かな山の中に入っていて、自分自身で古い本を読んで、それを刺戟にするというのはその意味においては少し弱まっているんではないでしょうか。逆に都会とか何かで非常な音響とか異質なもので攪乱する事によって孤独を自覚する。
島崎 それは人工的になったんでしょうね。
亀井 良い傾向だと私は思っていませんが、しかし自然にそうなるんでしょうね。東京などにいましたら、実際問題として。うちの子供なんか数学をやり乍ら、ジャズを聴いてますね。(笑)



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