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2015年9月17日

「精神と芸術」座談会 (16)


―健全なる精神と健全なる身体―
出席者 亀井勝一郎・島崎敏樹・丸山薫・斎藤玉男・荻野彰久
(東京 荻野邸にて)

丸山 でも、あれでしょう。前衛といわなくても、大体彫刻ですね、古い西洋の彫刻ですね。ああいうものは建築に適していたのではないですか?
島崎 ぼくもそう思いますね。
ですから、妙な石みたいな物でも、一つ離して見たら大変な彫刻のような石がある。いい石ですよ。実用品ですよ。非常にきれいな、そんなら、ぼくは賛成ですよ。で、まあ、書なんかの場合、結局、人にやる手紙とかなんか、そう云った前衛的な形態を取ると云う必然の場合はいいってわけでしょうか。
亀井 ぼくは必然の場合はいいと思う。ただ、今、私が見る範囲に於ては美術的に否定しますが。
島崎 彫刻で、ローマの自然主義的な写実的彫刻ですね。ああ云うのをこんもり繁った森の中に置くと非常に似つかわしいのです。丁度、その住いの中に、それに似合う絵が架かって、置物があれば、丁度よく解るわけです。誰にも解るわけです。それと同様に、あ々云う写実主義的な自然主義的なものを自然の場に置くと味がある。
それから、今のあの誰ですか、一寸出て来なくなったのですが、あの彫刻の連中の、人間の頭が割れたような彫刻とか、胴が抜けてぬめぬめした内臓がすけて見える、ああ云う彫刻、そう云うのを自然の場に置くと、実にグロテスクなんですけれどもね。そういうのをそこでなしに例えば草月会館なんかなら、実にピッタリ会う。だからそれでいいかと云うと、草月会館の建物自体がこんど問題になるのですね。ああいう反自然的なものですね。つまり、ギリシャの森や、青い空や蒸気のかかった海とか、ああ云ったものじゃなくなって、とにかく、カラカラに乾いたコンクリートの床で、装飾のない大きな壁と、そういうものに変っちゃった。そういう生存状況ですね。そういう反自然的なものに変っちゃった。そこから、問題を打ち出さないと本当の答が出て来ないのではないか、そう思うんですがね。



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