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2015年9月29日

akira's view 入山映ブログ 文化の話

 ベルガモのドニゼッティ劇場の日本公演。ラ・トラヴィアタに行ってきた。11月にバスティーユで聴いて以来(11/15「フランス紀行(3)」)である。今回はウ゛ィオレッタのデヴィーアの独り舞台で、舞台も先のバスティーユとは比較すべくもない。何よりもオーケストラが一度ならず歌唱とずれる、という言語道断のパフォーマンスであったが、デヴィーアの熱唱はそれを補って余りあるものだったのが救い。特に終幕の演出では謝肉祭の行列に代えて死神を思わせる舞踊手3人を暗い照明の中に登場させたり、ラストシーンをシルエットで見せたり、と、とかく意図だけが空回りしがちな新しい演出の中では秀逸な出来であったと行って良い。2幕の「復讐だ!」でテノールが声が出なくなったりもして、総体としてはとても一流とは申しかねる出来だったが、考えてみればベルガモというのはロンバルディア州の人口わずか11万の都市だ。お国ぶりとはいえ、そんな町がこれだけのオペラカンパニーを擁して海外公演までやってのける、というのは驚きではある。 

 でも考えてみれば、加賀の国では少し気の利いた宿に泊まれば、宴会場の向こうに能の舞台があるのは珍しいことではない。村々にお神楽があったり、それを奉納する神社の舞台は全国至る所にあった訳だ。イタリアオペラの起源が神の祝祭にあったかどうかは、永竹先生にでも聞いてみなくてはなるまいが、人々が群れ集って歌い賑わうのに洋の東西はないのかもしれない。それにしても。歌舞伎や文楽には時々出かけるが、オペラなんぞ見たこともない、という人と、その逆の人はほぼ同数くらいいるのではないかと思う。そんな国は世界でも稀だと言ってよいだろう。馬鹿げたバラェティ番組にテレビを占領されたかの観のある昨今の日本だが、そうしてみれば存外棄てたものでもない。

 ただし、これを事業仕分けでどう反映させるかというと少なからず悩ましい話になる。ことは科学技術に限らないのだ。明快、一刀両断だけが世の中ではないという当たり前のことかもしれないのだが。

2010年 01月 11日



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