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2015年9月29日

「精神と芸術」座談会 (22)


―健全なる精神と健全なる身体―
出席者 亀井勝一郎・島崎敏樹・丸山薫・斎藤玉男・荻野彰久
(東京 荻野邸にて)

荻野 極めてセマテイッシュな考え方で幼稚なものですが、そういうものをぼくは本能と結びつけて考えたいと思います。本能的な要求、つまり根元的には自己保存欲求、あるいはセックスと結びついたもの、その強いものは、いつまでも前があるのですね。それに比例していつも前の方に未来を感じる。それからいいかげんな所で欲求が達せられないことがはっきりわかると諦観になります。それが必ずしも悪いこととは云えない。良い悪いの判断は別問題です。そこから生れる。一時私は何でも本能に結びつけて考えた。フロイドを読んで、なにか病的にその本能論的なことばかり考えたことがあります。
丸山 あらゆる芸術には潜在意識が相当働いているので、所謂無意識のうちに働いているのですね。それであの超現実というのは、絵画とか、文学とか、詩とかのああいったものは、どの程度、勿論超現実主義というものが発生するのは、必然でしょうか、どういう風に受けとられますか? お医者さんの立場では―。
島崎 どうも医者はそう云うことをやらないのです、医学となりますとね。
斎藤 そう、どうしたものでしょうね―。
丸山 医学の立場をはなれて結構です。
島崎 たとえば、16、7世紀のボッシュとかブリューゲルとか、少しさがってゴヤあたり、あの辺が、現在のシュールの先駆者なんでしょ。あの当時はボッシュもブリューゲルもだれもこれが超現実主義とは思っていないんですね。いまになって、その意義が確立された。ということはボッシュやブリューゲルはあの当時は全くの異端じゃなかったかと見られるんですけどね。それが現代になると、ダビとかエルムスとかちゃんと芸術史上、その地点をかまえることができた。ですから超現実っていうものは、いつも無意識的にいつもあるものじゃなくて、すぐれて二十世紀的なものじゃないかと思うんですよ。むしろブリューゲルはいまになって、超現実的なのですね。



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