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2015年10月5日

「精神と芸術」座談会 (26)


―健全なる精神と健全なる身体―
出席者 亀井勝一郎・島崎敏樹・丸山薫・斎藤玉男・荻野彰久
(東京 荻野邸にて)

荻野 われわれが読んだのではよく解らないのですがね。そういう書き方があるのかしらんと思って。太宰治になると、そうじゃないんですね。太宰治は明解で、しかもたとえば録音なんかに入れて、自分の声を良く聞いて、歩調を合せて書いているような感じですね。
何だか、われわれは素人で知りませんが。
亀井 それになかなか情緒的ですね。明解で、文章が非常にかるいでしょう。
荻野 かるいです、ええ、そして、リズムがあって、自分で何遍も同じ言葉を云っているんではないかと思います。たまにあぐらをかいたりして。
亀井 始めから、書いたり消したり書いたり、消したりして非常に手を入れるんですね。
荻野 引っかかりませんね、文章。
島崎 ああいうグロテスクなもの、今のその大江健三郎のものや絵で云うと、ええと、名前を忘れてしまったけど、いつか、無理矢理に見せられて、いやになっちゃった。人体を裂いて、裏返しちゃって、内臓を出して、そうして、それを書くという感じなんですね。ドブに頭を突っこんだような感じです。
荻野 二、三篇読んで、何だか不潔な感じがした。ぼくは医者だから、不潔感がどうしてもいやだから、どんなに良い芸術家のものでもいやですからね。
読んで見ると、後から文明社会の推移に従って、泥沼で泳いでいる現代青年の苦しみがあるような感じがします。政治にかかわりをもって。きたない話で大変恐縮ですが、ワギナの中にペニスを入れる。
この橋が政治の橋ですね。暗示するそれをねらっているような感じがします。作者が。ぼくは一通りだけで、そんな感じをうけましたね。
亀井 まあ、読んでみて気持いいものじゃないですね。不思議なもんで、人柄はいいんですね。彼は実に、礼儀の正しい良い青年ですね。ぼくが逢ったうちの青年作家の中で一番感じのいい青年ですね。
荻野 頭はいいんですか。
亀井 え々。非常に礼儀正しいんです。先輩に対しても、先生に対しても、今の青年とは思えないです。石原慎ちゃんあたりとは逆だ。(笑)



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