共立荻野病院コラム詳細
TOP > 共立荻野病院コラム一覧 > 無極庵記(4)――詩的遺書 成瀬無極
  • 診療科目一覧
  • 内科
  • 胃腸科
  • リウマチ・膠原病科
  • アレルギー科
  • リハビリテーション科
  • 診療時間
  • 月〜金 午前9:00〜午後12:00
    午後3:00〜午後6:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • 月〜土 午前9:00〜午後4:00
    日曜・年末年始
  • 月〜金 午前9:00〜午後5:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • 院内のご案内
  • 医師紹介
  • 共立荻野病院デイケアセンターフラミンゴ
  • 住宅型有料老人ホーム プメハナ

2015年10月29日

無極庵記(4)――詩的遺書 成瀬無極

    ・・・・・・・・・
この詩は人類愛の絶唱であり、短詩「旅人は跪く」は汎紳観の流露であるが、「父と子」のテ-マを歌った「双親の歌」が今の私には最も切実に響く。それは初期の小説「殺した者ではなく殺された者に罪がある」に現われた骨肉相剋と最後的和解又は諦念とを歌ったもので子に背かれ見棄てられてゆく親の孤独寂蓼感がにじみ出てゐる。「子供たちは走り去る」曽て賑かだった食卓はいつしか淋しくなる。息子は妻の、娘たちは良人の許にいて音信も途絶えがちだ――「子供たちは立ち去る、やはり何かを持てゆく、私たちは貧しくなり、彼らは責めを負はない、そして時計の針は、空の食卓をめぐって、カチカチと進んでゆく」両親の中でも母はまだ本能的に愛し愛されてゐるが、父は益々孤独に陥ってゆく。小説「ナポリのはらから」はかうした父の悲劇を物語ってゐる。



共立荻野病院コラム一覧へ戻る