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2015年11月2日

akira's view 入山映ブログ 言葉遣い

 妙な言葉遣いが流行るようになった。枚挙に暇がないが、私「的に」は、とか、有権者の反応「という部分において」は、とかいうのはその代表例だろう。どちらも全くなくもがな。「」の部分を抜いても意味は何も変わらない。これをタレントさんが愛用するのはともかくとして、白昼堂々、アナウンサーやら政治家までが口にするようになっている。

 強いてこの表現の由来を考えてみれば、一種の朧化的表現と言えなくもない。つまり、ストレートに自己主張をしたり、断定をしたりしないで、すこしソフトにものを言う、という思い入れだ。といえば聞こえは良いが、実はそのコメントについて批判を浴びた際に、緩和曲線が入っているから、別の可能性も考えていないではなかったのです、という言い訳を予め用意してのことだと言えなくもない。

 こういう腰のひけたものの言い方は、これまでお役人の公式発言にしか登場しなかった。世に言う玉虫色の発言と言うシロモノである。本来、侮蔑の対象にしかならない筈のこうした物言いが、いつの間にか市民権を得て、揚げ足を取られない巧妙な表現だなどと思われるようになったについては、この半世紀の官僚天国と無縁ではあり得ない。

 それにつけても、と官僚天国に落とすのでは、まるで「根岸の里のわび住まい」(筆者註:俳句で上の句が何でも下にこれをつければぴったりあう。)ではないか、と冷やかされるかもしれないが、さにあらず。この社会の病根はかくも根深く、かつ広汎にゆきわたっている、という認識がなければ、その怖さもまた過小評価されようというものだ、というのが解題ではある。

 といって、これを直ちに官僚バッシングに結びつけるのは早計。というよりむしろことを誤る。官僚が今日の官僚であるのは、勿論彼(女)らの自己保存、自己肥大の本能にもよるが、何よりもそれによって利益を得グループが存在したことによる。それが誰かは語らずして明らかだが、そのグループがAからBに代わっただけでは何の変わりもない。単純なバッシングというのは、実はことの本質からの目くらましの機能があることを知るべきだろう。

 国家機能に有能な官僚は必要だ。それにどんな機能を持たせるか、持たせては行けないか、デザインするのは本来国民であり、政治家である筈ではないか。

2010年 02月 26日



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