2015年11月2日
「とんち教室」あれこれ(1) 岩佐東一郎
今年の「詩学」新年号を展げて見て、思わずも笑ってしまったのは、余興頁の「現代詩いろはカルタ」だった。
い――犬も歩けばH賞にあたる(ヨ今年は誰でしょう)から順々に読んで行くと、一番終りの、す――粋が詩を喰う岩佐東一郎(とんち教室、粋人酔筆、詩よりも有名となる)と来た。
誰が作ったのか知らないが中々いける文句だった。そうかもしれぬと、哄笑するばかりである。なにも追記することもないだろうが、カッコ内の粋人酔筆とは「内外タイムス」一面の随筆欄で毎日、石黒敬七や田辺禎一(尚雄)や宮尾しげをや川上三太郎や中村芝鶴や吉田機司や矢野目源一や福田蘭童や田辺茂一や峰岸義一や北林透馬や平野威馬雄や本山荻舟や高橋掬太郎やぼくなどがレギュラ-格で、時々は新メンバーも飛入りで書きつづけている、ユーモラスな「風流ばなし」欄の題号なのだ。ぼくも月二回の約束で三年前から執筆しているので、もう三、四十篇になる。その大半は、今春、美和書院から新書判で刊行した「粋は異なもの」へ収めている。愚著ながら評判はいいらしい。
さて、ぼくが「とんち教室」へ入学したのは、1950年の1月のことだからもう足かけ7年になる。その年の日記を見ると、ぼくが初めて「とんち教室」の公開録音へ研究生(ゲストのことだ)として出席したのは、1月19日(木)だった。