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2015年11月9日

獅子は子を(2) 板倉靹音

泣いて血を吐くほととぎすという言葉がある。血を吐くなどという表現はわれわれには感傷的にきこえ、盧花の「不如帰」がすぐ頭に浮かんであまり愉快ではないが、しかし、あの鋭い叫び声をきいて、はっと注視すると、ほととぎすの口の中の赤色が見えたとすれば、これは案外すなおで直接的である。昔の人はわれわれの想像以上に自然に近く、自然を見ていたと思うのである。
親が子をすてるのが、どうも動物の世界における物の順序であるようだ。



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