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2015年11月10日

akira's view 入山映ブログ 鬼畜

 痛ましい幼児虐待のニュースが続く。なさぬ仲の話としてならば、洋の東西を問わず民話やおとぎ話の類いに多く語り継がれているが、実の子供、というのをこんなに頻繁に耳にするようになったのはそんなに古い話ではないように思う。あるいは昔は闇から闇に葬られていたのが、最近は表に出るようになっただけのことなのだろうか。

 当事者の両親の年令は当然のことながら20代後半から30代全般というのが圧倒的だ。2010年の現在時点でその年令の人と言えば、’80年代後半から’90年代前半、つまりバブル経済華やかなりしころに生まれた人、ということになる。もの心つく頃までバブル、教育を受けたのはポスト・バブル、つまりこれまでの社会価値が大きく変貌を見せた時期ということになる。所謂家庭崩壊がささやかれ始めた頃とも一致する。安易な世代論に結論を求めるつもりはないが、核家族化が第二世代を輩出し始めた時期は、価値観の野方図もない多元化が見られ始めた時期と一致する。それはあたかも「家庭の躾」というものが崩壊の兆しを見せ始めた時期でもあったと言ってよい。

 たとえ家族の絆とか、鳩山さんではないが「いのち」の大切さが、明示の形で語られることが稀になったとしても、世の中の大多数(3Σ)はそんなに伝統的な価値意識からかけ離れたメンタリティを持ったりはしない。問題は異常値として3Σの外に現れる現象に見られる。モンスター・ペアレンツや親父狩り、さらには公共の場所での傍若無人なマナーの悪さ、といった現象は、一連の痛ましい事件と連続線上にある、と見る方が当たっていると思う。これらの社会現象に共通してみられるのは、ことが自分の所属する集団単位(家族、グループ)に起因し、発生し、帰結している、という点だ。

 村落共同体、向こう三軒両隣の人間関係の煩わしさを避けて人が都会に群居し始めて永い。それでもかろうじて存在していたご近所さんの縁もいまや絶滅危惧種だと言ってよいだろう。「世間体」とか「人の噂」が気にならなくなって自己の価値観が万能ということになれば、いや、そこまでゆかなくても他人様を気にしなくなれば、よほどの宗教観を持った人は別にして人間は修羅に落ちるように思う。お節介な人と、人の話に耳を傾ける人、それと対話の場、その三拍子揃わなければ社会的人間は成立しない。おっくうがらないでご近所さんに一声かける。そんな迂遠な方法でしか悲劇を防止する方法のない社会になってしまったようだ。

2010年 03月 06日



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