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2015年11月12日

akira's view 入山映ブログ ないものねだり

 民主党政権、というより鳩山政権といった方がよいのかもしれないが、についての最大の不満点は、空疎なコトバで期待感だけ高めておいて、現実にそれを実行する知恵も意欲も欠如しているように見えることだ。それが不勉強によるものか、それとも能天気な世界観に立脚しているものか、今ひとつ判然としない。しかし、これ以上繰り返していると、失望感が怒りに転化するのは時間の問題ではないかと危惧される。

 先に(2.23「新しい公共(3)」)その具体例として「コンクリートから人へ」「官から民へ」を挙げた。沖縄問題にしても、沖縄県民と米国の意向を二つながらに満足させることなど出来る訳がない。民主主義とは相異なる立場の間に妥協点を求めることだと言うのは三歳の児童でも知っている。それを改めて表明するからには、実現するうえでのアイディアを(例え朧げであるにせよ)持っていなくてはなるまい。それが白紙の状態から議論と検討をすることによって可能になる、と本気で考えているのならば、時間という要素を無視した空疎、かつ無責任な議論に過ぎまい。正しく問いかけない限り、まともな答えは返ってこない。

 「新しい公共」円卓会議なるものもその典型的な例だ。委員19名はどのようにして選ばれたかは別にして、いかにも民主党好みの錚々たる顔ぶれである。まだ第2回の会議が終わったところだから早急に判断をするのは適当ではないかもしれないが、この会議が何のために何を議論するのか判然としない、というのが現政権の性格と基本的に符合する。公開の席で有識者を集めて自由に討論させれば、水の高きが低きにつくように自ずから素敵な結論がもたらされるであろう、という度し難い楽観主義としかいいようがない。

 「新しい公共」とは、官に独占されていた公共をいかに民の手に取り戻すか、というベクトルの中の話である。その視点からは、市民社会の虐殺立法とも言うべき「公益法人制度三法」の執行停止こそが最優先課題だ。一方で無辜の市民が次々と虐殺されているのに、その傍らで有識者が集まって「21世紀における市民的自由のあるべき姿」を議論している、というのはほとんどグロテスクな漫画だと言ってよい。学問の世界とは違って、政治の世界とは緊急性と重要性の度合いに関する認識が判断の基本になくてはならない。全ての可能性を均等に扱って、その行為自体に自己陶酔しているというのはナンセンスとしかいいようがない。

 さらに悪いことには、このテの会議をいかに操縦し意のままに操るかについて百戦錬磨の官僚諸君の能力に対してほとんど無防備のまま運営されている点だ。これは「官から民へ」が空疎なスローガンに終わっていることと無縁ではない。マニフェストに拘泥した挙句、保育園に子供を預けられない母親に「こども手当」をバラまいて満足している体質と通底するものがあるのは見やすいだろう。現実無視、空虚な固定先入観重視。旧いタイプの労働運動を見る思いがする。

2010年 03月 09日



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