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2015年11月16日

akira's view 入山映ブログ いるか

 いるか漁が野蛮だと言う。クジラと同じノリなのだろうと思うが、さてもお節介の度が過ぎるというべきではないか。牛や羊を殺して食べるのとどこが違うのか、というのが大方の日本人の反応だろう。考えられる論点は三つある。

 一つは、絶滅危惧種だと言う懸念だ。地中海のマグロと軌を一にする。これは冷静な議論が可能なテーマであり、他の要素と故意に混同されるべき代物ではない。その証明が出来るのか。出来る必要があるのか、という問いかけ自体、議論の対象になりうると思う。ただ、最後のところが「疑わしきは罰せず」になるのか「断固罰する」ことになるのか。その結論に承服するのかどうか、スタンスは予め決めておく必要はあるだろう。

 二つ目は屠殺の方法論だ。いたづらに生物に長引く苦痛を与えるような方法は許すべきではない、ということで、動物愛護・虐待防止とも共通した論点になる。これは一見納得し易い。いるかの追い込み漁というのは、伝統漁法だから撲殺のような話になる。クジラだって電気銛とは言うものの、やはり巨体がのたうち回るのは目に留まる。厄介なのは、牛や豚の電気ショックみたいな簡易な屠殺法がないことで、この議論は行き着くところ漁獲禁止ということにならざるを得ない。特に漁業というのは、一本釣りにせよ、底引き網にせよ、大なり小なりこの要素がある訳で、こいつは開き直るしかないのかもしれない。

 三つ目は、二つ目といささか関連があるのだが、クジラ・いるかが高度の(というのがどの程度かについては議論の余地があるにせよ)知能を持っている、ということを言う人がいて、人間も同然とまでは言わないが、こんな親戚筋みたいな動物を殺すのはいかがなものか、という話になる。これは情緒的には支持者が少なくないようだがかなりいい加減な話で、親子の情を示したり、愛らしい行動をとる動物は一切殺すな、ということになるのだろうか。

 一切の殺生を禁じる、という宗教上の立場がある。それはそれで結構な話である。人に強要したり、折伏しようとさえしなければ、の話だが。だがこれまでのクジラ・いるかを巡る一連の話はこれとは異なる。中には食文化の話だなどと議論をより混迷に追い込む人まで出たりして、厄介なのだが、したり顔のアカデミー賞まで出てくるご時世なら、日本の市民団体がしかるべきステートメントを出す時期になっているのではないか。

 情報化・グローバリゼーションというのはそういうことで、ことはクジラ・いるかに留まる保証はない。自分の目から見て奇異に映る、許し難い、と思う行動に対してはさまざまな行動があり得るだろう。スカーフをかぶらないからといって人が殺されたりするのが世界というありようだ。一喜一憂してみても始まらないが、右顧左眄はもっと悪い。

2010年 03月 14日



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