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2015年12月17日

大菩薩峠(2) 桑原武夫

あえて小説のみでなく、文化現象を考えるとき、それを木にたとえることができる。木には地上に枝葉をのばし、花をさかせる部分と、暗い地下に根をはびこらせて、そこから水分を吸いあげる部分とがある。多くの文化論は、その美しい花のみをめでる。そしてそれが古典的で、一ばん本来の鑑賞法であろう。サクラやウメは花どきに見る。しかし、冬枯れの花木に、その枝ぶりの骨格を見るということもある。構成、さらにその作品の系譜や作者の生活をかえりみるのが、これに対比できようか。さらに私はこのごろ、その木の根が地層のどこまでとどいているか、という見方もあるだろうと老えている。まだくわしくは考えてみないが、ごく大ざっぱにいって、日本文化のうち西洋の影響下に近代化した意識の層があり、その下にいわゆる封建的といわれる、古風なサムライ的、儒教的な日本文化の層、さらに下にドロドロとよどんだ、規定しがたい、古代から神社崇拝といった形でつたわるような、シヤーマユズム的なものを含む地層があるように思われる。この層には柳田民俗学などがクワ入れをしている。これらの層の厚さは時代とともに変るので、たとえば第一層は敗戦後、いろいろヒヤかされながらも厚みをましてきており、第三層はうすくなりつつあるようなものである。



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