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2015年12月28日

akira's view 入山映ブログ 「官」と「民」(2)

  「官」と「民」の話を続けたい。
 
 ひとことに「民」というが、大きく分けて二通りのものがある。一つはいうまでもなく、企業に代表される営利のための組織。いまひとつは住民運動とか、最近よく耳にするNPOなどのように営利を目的としない運動や組織だ。とかく前者(企業)は金儲け、後者(非営利組織)はそれとは無縁、みたいに思われがちだが、ここで営利と金儲けの異同について触れておきたい。つまり、営利と金儲けは違う、ということだ。

 金儲けとはいうまでもなく、かかった経費以上の収入を収受して、その差額を利益として確保しようという活動だ。これに対して営利というのは、あがった利益のつかわれ方に着目する。利益を組織の構成員や利害関係者で配分する、つまり分け合いましょうというのが営利で、それを目的として投資や経済活動が行われるのは先刻ご承知の通りだ。

 ということは、金儲けそれ自体は、あがった利益を何につかうかは念頭にない、ということだ。関係者で分け合うのではなく、慈善の為に使うもよし、アフリカの食料確保に寄付しても良い。地域に不足している児童保育施設建設にあてても、外国人労働者の為の日本語教育機関設立に使っても良い。あがった利益を関係者で配分する、それが始めて営利行為になる。逆に言えば、利益配分を行わなければいくら利益をあげてもそれは非営利ということになる。

 経済規模から見て、営利組織の巨大さに較べれば、民間非営利組織(あえて「民間」非営利組織というのには訳がある。政府やお役所、つまり「官」の組織は定義的に非営利だから、それと区別する意味がある。—ときどき税金を仲間うちで分けて使ったりする輩もいるが、それはまた別の話だ。)の規模は微々たるものだ。だから、とかく「民」というと営利組織のことが念頭に浮かぶのだが、実は民間非営利組織の存在意義には極めて大きなものがある。

 というのも、営利組織というのは当然のことながら市場原理の枠の中でしか活動しない。公的サービスの市場化にはもちろん意義があるが、同時に限界があるのも良く知られている。そんな場面で「官」に代りうる主体としては、民間非営利組織がクローズアップされるのは必然だといってよい。逆に言えば、「官」がその特権的地位、主体的地位を脅かされたくなかったら、民間非営利組織を自らの支配下におくことに腐心するのは当然のことだ。あのグロテスクな天下り公益法人、人呼んで官益法人というのもその副産物に過ぎない。それよりも問題なのは、しなやかに活動すべき民間非営利組織に手かせ足かせをはめて意のままに操ろうとする官僚主義。それを保証する公益法人制度だ。ことは公益法人制度だけではなく、百を超える官僚統制の仕組みによって、民間非営利組織を去勢も同然の状態においている日本の現状である。これを放置して「新しい公共」もないものだ、という点については再三述べた。

2010年 05月 27日



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