2016年1月1日
籠桶をさげて(1) 板倉靹音
「紺屋付け」という話がつたわっている。鴬の好きな紺屋があった。自分の思うとおりに鳴く鳥を作ってみたいというので、そのような笛を作り、藍甕の蓋のうえに雛をおき、自分は甕のなかに入って毎日この笛を吹いて聞かせた。このようにして、数ヶ月の後に思いどおりの鴬を作りあげたというのである。鴬飼いのかっている鴬は地方地方で鳴き方が非常にちがっているが、その祖先はいずれも右のような何らかの方法で人工的に作りあげたものである。これがつぎつぎに受けつがれ、改良されていくのである。