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2016年1月4日

akira's view 入山映ブログ 相撲協会

 相撲協会と暴力団の関係が取沙汰されている。刑務所にいる仲間に元気な姿を見せる、なんていう知恵が昨日今日始まったものではなかろう、という位は素人でも解る。処分された当事者が、たまたまバレたのは運が悪かった、なんて思っているのでなければ良いのだが。協会の体質については、これまた折に触れて報道されてきた。外国人力士の増加につれて、相撲が神事的性格を薄め、新しいアイデンティティを見いだすのに苦労している昨今ではあるが、非合法組織との接触というのはそれとは別論だ。

 こうした事態を受けて、協会がいかに自浄機能を働かせるか、それを誰が検証するのか、というのは大きな課題だ。朝日新聞社説「相撲協会」(5.30朝刊3面)は「文部科学省に注文したい。協会から再発防止報告等を受け取る、といった型通りの対応ではだめだ。監督官庁として協会運営に目を光らせ、今度こそ強い指導を推し進めてほしい。」という。不祥事が起きるたびに「役所は何をしている」「もっと指導監督を厳しく」の声が挙がる。これはマスコミの思慮の足りない言説、というよりは国民一般の反応だといったほうがあたっているだろう。

 官僚が権力を持ち、その影響力を行使する背景にはこうした世論の存在があることは疑いない。政官財の癒着といい、はびこる官益法人といい、財政投融資による無節操な投資といい、基本にはお役所依存、官僚万能を許容する風土があるのだ。その限りにおいては、官優位の日本社会はわれわれ自身が作り上げているのもまた事実だ。民のことは民自身の手で行なう。お役所の介入はよくよくの例外的な場合だ、という感覚は残念ながら主流だとは言い難い。

 もちろん刑法犯の取り締まり、あるいは司法的決着等、公権力による介入が前提になる社会事象も多い。しかし、ポルノの取り締まりと言論の自由が紙一重の関係にあるように、常に緊張関係を持って公権力の介入に対応していなければ、官から民へ、新しい公共などというのは全くの空念仏に終わる。民の創意工夫を生かす、主体的関与を保証する、とこのブログが口を酸っぱくして言っているのは他でもないその点だ。公平さが要求される時には常に官の関与が求められる。逆に言うと民のイニシアティブは部分的利益を代表するに過ぎず、公正さに欠ける、という皮膚感覚を何とかしない限り、官僚万能主義はしぶとく生き残り続ける。

 民間非営利組織の活性化が望まれる、というのは同じことを別な言葉で表現しているに過ぎない。民の主体的関与が具体的な姿で示されない限り、官から民へ、というのは絵に描いた餅だ。官から民へ、というのは官僚バッシングで済むような生易しいものではない。それを必至に食い止めようとする勢力が公益法人制度を改悪しているのは決して偶然ではない。

2010年 05月 30日



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