2016年1月5日
大正の留学日記(10) 坪田英熙
5月にはボストン、ハーバード大学を訪ねてライマン教授他と面会。「ベンジャミン・フランクリンが最初作りしフリクション・マシン二台を見たり」。
次いでニューヘイブンのイエール大学。卯三郎自身の研究テーマだった「スターク効果」の研究者フォスター博士に会い、研究手法の説明を受けているが「フォスター氏曰く間違っているやも知れずと。米国人は凡て此の風にてザックバランの処大変面白し」。
プリンストン大学では学園都市の静けさと設備と研究活動の水準、設備は大変宜しという。その後コロンビア大学を訪ねデービス教授、ウェブ博士に会ったが「大したるものに非ず」と評価。2年に渉る留学生活でかなり自信も生まれたのだろう。
この間卯三郎は友人を誘って再々野球を見に行っている。4月22日にヤンキースの試合を見に行きベーブ・ルースのホームランを見ようとしたが打たず、翌日も行ったがヤンキースは負けてしまった。入場料は1ドル10セントだった。
大正12年10月7日ニューヨークを離れ、バッファロー、シカゴ、カンサスシティ、ロスアンジェルスを経て18日サンフランシスコに到着。22日シベリア丸で帰国の途に就いた。
大正13年、京都帝国大学理学部教授。昭和23年没 61歳 完