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2016年1月15日

akira's view 入山映ブログ 東海紀行(2)

 旅の楽しみの一つはもちろん食べ物だが、東海は名古屋、ということになると筆者は先ず「味噌煮込みうどん」を挙げる。ご存知の方も多いと思うが、八丁味噌で手打ちうどんを超アル・デンテに煮込んだ、といえばお解りいただけるだろうか。由来、味噌汁というのは、煮込むと不味くなる、としたものだが、こればかりはさにあらず。名古屋にこの銘店が二つあって、片方が山本家総本家、もう一方が山本家本店を名乗る。総本家の方がやや味付けが濃く、本店の方が薄いといえば当たるか。それぞれに贔屓があって議論は分かれるのだが、筆者は総本家の方が好みだ。総本家の方には八丁味噌で煮込んだおでんがあって、これがまた絶品。

 永く東海地方以外では食べられなかったが、最近総本家の方が東京にも出店したのは嬉しい。流石に名古屋で食べるのとは若干の違いがある、と筆者は思うのだが、さて皆さんの舌にはどうだろうか。念のために申し上げておくが、このうどんのアル-・デンテ振りは相当なもので、その昔東京に超・視野狭窄の天動説で有名なご婦人がいて、山本家で煮込みを一食に及んだのだが「生煮えですからもう少し煮てきてください」と本気でのたもうてお店の人にやんわりとたしなめられた、というくらいのものだ。

 名古屋の食べ物は人それぞれで推すものは差があるようだが、うなぎの「ひつまぶし」を挙げたい。これは細めに切った蒲焼きをご飯にまぶして食べ、最後の一膳(でなくてもよいのだが)はお茶漬けにして食べる、という趣向である。よく知られているように、東京ではうなぎは蒸してから蒲焼きにする。関西はじかに蒲焼きだ。東京の友人にいわせると関西風は洗練度に欠ける、ということのようだが、確かに二段に重ねてうな重にするのには、これは蒸し焼きでなければ料理にならないだろうが、同様にひつまぶしも蒸し焼きではサマにならない。食べ方の様々が独特の料理を生むのは何もうなぎに限った話ではないのだが。

 うどんやうなぎにかまけて、名古屋の和菓子に言及しないのは全く片手落ちだし、地酒についても一言あるべきかもしれない。そちらの方は詳しい方がいっぱいいらっしゃるようだから筆者の出る幕はないように思う。全国どこに行っても同じチェーン店、ファミレス、というのが定番になってきた。千金を投じて料亭を訪ねれば、これは土地の選りすぐりの食を賞味できることは疑いないが、気軽にお昼をちょっと、というお店で土地の素晴らしさを味わえる機会が少なくなってきた。そんな思いの煮込みうどんとひつまぶしである。

2010年 06月 18日



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