2016年1月29日
杉 菜 結城哀草果
年に幾度も見えぬとぞ鳥海山が紅(あか)く夕映(ゆうば)ゆる空にはるけし 鈴立山上二首
國原を川ひかりつつ貫流しとりよろふ山々や夕昏(ゆうぐ)れむとす
山岸に杉菜萠えまた土筆のぶとりとめなけれ春逃(はるにげ)水(みづ)は
茹であげし木通(あけび)の芽をば笊(ざる)に入れ山岸の水に浸(ひた)す家々
鶯の啼き交しゐる柴山に二人(ふたり)来て観(み)る山櫻ばな
口紅(くちべに)さすやさしきひとにきけよとて朝はればれと鶯啼けり
西川林道にきほひ遊びし君をしめば草を染(そ)めつつ夕日(ゆふひ)も落ちぬ 悼渡辺久兵衛氏
春ふけて曇る二(に)ノ澤(さは)わたりゆくオワオー鳥の声のさびしさ