2016年2月4日
akira's view 入山映ブログ 選挙終わる
何のことはない、菅さんが一人で走って、ひとりでこけただけの話で、選挙の結果も、まあなるようになった、ということだった。筆者の肩入れしていた「みんなの党」も、ブームを巻き起こす、というには遠かったようだ。もっとも選挙区でいくつか勝利を収めたのは結構な話で、先行きに期待を持たせる要素ではあった。
おなじみコロンビア大学のジェリー・カーチス教授と、選挙分析ではこれまた毎度おなじみの白鳥令教授が外国特派員クラブで選挙結果を分析する(7月12日)、というので出かけてみた。白鳥先生によれば、菅氏とは長い付き合いだが、かつての市民運動家から変貌を遂げ、いまや冷徹な権力志向の強い政治家になっている。それが今回の勇み足に連なったそうだ。日本では実るほどに頭を垂れなければ人気は出ないから、この結果も当然なのだそうな。で、この後の政局では民主・自民の大連立も可能性のうちだという。日本政治の特殊性を余り論証もなく強調される。英語でお話しになったから、真意がどれほど伝わっているかは疑問だが、とても納得できる内容ではなかった。
それにひきかえジェリーのほうは、手慣れたもので冒頭に「日本国民は安定政権がお嫌いのようだ」とやって笑いを取った後で、いくつかの興味深い指摘があった。菅さんの12日早朝のテレビの記者会見が、弁解に終始したひどいものだった、という話から始まって、彼は今後もひ弱で弁解めいた(weak and defensive)言動の政治家として生きながらえるだろう、と手厳しい。で、彼に対する助言としては、公然と国民に向かって自らの所信を述べ続けよ、という。健康保険問題を巡って四面楚歌になった時のオバマ大統領の態度がそうだった、とも。過半数を制するための連合は起こらないだろうというのが彼の見立てだ。民主党は沈みつつある船で、そんなものに乗ろうという物好きはいない筈だ、と。しかし、個々の政策に応じて協議、協力が起こる、というのは歓迎すべきことだという。これまでは政府提出の議案をラバースタンプしていただけの議会が、本来の立法府だ、というタテマエが、始めて現実のものになるからだ、とする。
同時に、自民党は結果として勝ったように見えるが決してそうではない。むしろこのつかの間の勝利幻想が党の抜本的改革の妨げになるのではないか、と懸念を示す。本来、単なる政党の離合集散というレベルを超えて、創造的破壊(creative destruction)が起こる好機であり、それこそが望ましいありようだが、まあ、起こらないだろうね、というのが彼の締めくくりだった。彼は日本のマスコミが、些々たる人間関係やゴシップめいた事件にばかり関心を示し、肝心の政策にはほとんど興味を示さないことにも懸念を抱いていた。筆者もこの点には全く同感だが、さてその対策となると。
2010年 07月 12日