2016年2月10日
akira's view 入山映ブログ お説ごもっとも
先に(09.11.26「御用学者」)でも触れたが、敢えて再録すると、『当たり障りがなく、誰も異論を唱えることの出来ないような意見しか述べない(テレビ報道番組によくある)コメンテーターの提供する情報量はゼロだ。明日の天気は晴れだ、という情報の確率は70%かもしれないが、意味はある。明日の天気は雨か晴れか曇りだ。もしかすると雪かもしれない。雷も鳴るかもしれないし鳴らないかもしれない、というのはおそらく100%の確率で事態はその通りに起るが、その情報に何の意味もない。
NHKお得意の「適切な対応が望まれます」式のコメントしか提供しない審議会、諮問委員会の類いは自民党政権時代にたっぷり見せて頂いた。要するに官僚の作文にラバースタンプを押すだけの学識経験者を集める。(そうでない人は選ばれない。間違って選ばれても再任されない。)』というものだ。なぜこんなコメントを長々と引用したかというと、最近このテの発言で、「お説ごもっとも」と承っていれば無害・無益である、という訳にはゆかずに、実は甚大な被害を与える可能性のあるものが散見されるようになっているからだ。
その一例が、これも先に触れた(10.6.29,7.5;6「野球賭博」)日本相撲協会の調査委員会、独立委員会だ。ことが暴力団との関係にあるのならば、ヤメ検や大学教授の手には余る筈だ。きれいごとだけを言って、名古屋場所で紋付を着て挨拶をしてみても、その実巨悪が深く潜行するのを助けることにしかなるまい。地方興行が暴力団関係者の助力なしに成立するのかどうか。暴力団関係者からの(タニマチとしてのものを含んで)金銭的援助がどれくらいあったのか、なしでやってゆけるのか。引退後の力士の就職先として暴力団関係者の位置はどれくらいのものか。それを調査するのに司法当局の介入なしで出来る訳がなかろう。
NPOの世界にも「ごもっとも」な評論家が増えてきた。役所のカネへの過度な依存はよくない。自分で寄付金を集めて自立しろ。組織ガバナンスと透明性を保証せよ。いちいちごもっともだが、こんなことにかかずらわっていると、民間委託に出すお役所仕事の繁文縟礼やムダな制約の追求がお留守になりはしないか。安易にお役所仕事の「隙間」を食い物にして生きたがるNPOも、無反省に税金にぶら下がっているNPOがあるのも事実だろう。しかし、官の側にまず襟を正させない限り、職員数一人や二人の組織に、こむずかしい経営学のガバナンスとやらを求めるのは鶏を割いている自覚がない。ものごとには優先順位というものがある。
2010年 07月 18日