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2016年2月25日

akira's view 入山映ブログ 蓮舫さん

 当たり前と言えば当たり前だが、民主党政権が当初の意気込みにも関わらず、というか、むしろ当初の意気込み故に、官僚の掌の中でせっせと踊り始めたのは残念というか、脱力感のようなものを感じる。ひとつには、短期間の間に成果を挙げることを、マスコミを含めたわれわれが期待しすぎたのかもしれないと自戒する。野党時代から「これだけは」と思い詰めて、執念のように抱き続けた問題意識のある人でさえ、執拗な官僚の波状攻撃にあって、腰砕けならぬうやむやになってしまうのを見ていると、官僚組織のすごさを感じる。それとともに、こんなひ弱な政治家にあまり期待をかけすぎると、それに応えようとする結果、官僚の振り付け通りの美しいパフォーマンスで一曲踊ってみせる、という現象オンパレードになってしまうことを怖れる。

 名前を出して恐縮だが、筆者の長年の問題意識の分野だからご勘弁頂くとすれば、あの蓮舫行政刷新大臣がその典型例をお示しになっている。今回の公益法人制度改革が、いかに愚劣、かつ危険な制度改悪であるかについてはこのブログで再三にわたって指摘した(「公益法人制度改革」08.2.7,12.28,09.3.26)。のみならず、法律が出来てしまうと、その位置エネルギーの大きさによって、業界関係者、御用学者がおしなべて官僚の意を迎える形で、現状追認に陥ってしまっていることについても触れた(「位置エネルギー」10.1.25)だから、お側用人に意見を求めてもろくなインプットがないであろう、というのは容易に想像できる。それにしても、彼女の就任早々の挨拶はひどかった。

 「民」の立場で公益活動に取り組んでいるみなさんに心から敬意を払う、というリップサービスから始まり、100年以上を経て公益法人制度の大改革が進められている。委員会と協力して、4ヶ月を目安に「柔軟かつ迅速」に移行をスピーディーに進めたい。だから、いろいろ都合もあるだろうが早めに申請してください。という内容だ。この新制度に基本的欠陥があり、これを完全実施したら、日本の民間公益活動は間違いなく死滅し、お役所の言うなりになる組織だけが生き残る、という問題意識はかけらもない。

 無理もないとは思う。蓮舫さんが、天下り公益法人、税金カネ食い虫公益法人以外の問題意識を持ったことなんかないはずだし、仮にそれについてまわりに質問したって、現状追認を前提としたコメントしか返ってこないだろうからだ。しかし、一度でも、法律が、法制度がどう変わったのですか、と質問さえする気があれば、聡明な彼女のことだから、こんな馬鹿な法制を認めてはいけない、と即時に解った筈だ。民主党閣僚が、意気込みにも関わらず、というか意気込み故に、官僚の掌で踊る、というのはこの事態を指す。問題所在の原点が何であるか、というセンスがあり、かつ抽象的な作文行政に陥ることに対する警戒心さえあれば、余りに愚劣な官僚行政を打破することなどそんなに難しいことではない。今からでも遅くないから、蓮舫さんが、公益法人改革とは、何がどのように変わろうとしているのかについて、ご自分の頭で理解されることを願ってやまない。なんせ筆者は彼女の大のファンだから。

2010年 08月 02日



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