2016年2月29日
緋連雀(2) 板倉靹音
樹上の鳥の鳴き声につれてなおも三羽五羽と集ってくる。と見る間に一羽が近くの八ツ手の木に舞いおり、つづいて全部が殺到して、黒い実をむさぼり啄んでいる。なるほど、そうであったのか。僕はすばやく八ツ手の実の上に黐を張ると軒下にかけこんで息をころした。一たんチャンの木に逃避した連雀はしばらく下の様子をうかがっていたが、再び八ツ手に殺到してばたばたと黐にかかった。
子供をQさんの所へ走らせると、息をはずませてやってきて、鴨網を一段くれた。寝たきりの僕にこの網をどうしろというのだろう。よほど嬉しかったにちがいない。