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2016年3月1日

akira's view 入山映ブログ 詭弁

 いきなり固い話で恐縮だが、近代法治国家においては、有権解釈、つまり法律の執行にあたるお役所による法律解釈が、実質的に立法行為に陥ることを厳に戒めている。立法・司法・行政の三権分立を考えればこれは当たり前すぎる話といってよい。

 ところが、今回の公益法人制度改悪に関連して、余りに評判が悪い、というよりも、どうにも説明のつかない馬鹿げた条文を巡って、お役所が断然解釈立法に乗り出し、あろうことかあるまいことか、民間有識者がこれに提灯を持つという現象が発生している。先の蓮舫大臣のコメント(8.02「蓮舫さん」)は、鷺を烏と言いくるめるこうした一連の詭弁をご存じないままに、それに乗って出されたものだと理解する他はない。

 「ある事業について、その事業に関わる収入が、その実施に要する適正な費用を超えない」、と書かれてあれば、これは、収入が費用を超えてはいけないということだ、と読むのは当然であり、それが常識というものだろう。ところが、そう読むのは誤解であって、知識もなく、悪い方の情報がだんだんと拡大していった結果に過ぎないのだ、という。それではこの文章はどう読むかというと、「収支を必ずゼロ以下にしなければならないわけではない」「仮にプラスになっても」様々な事業運営上必要な資金需要に「充てるということなら何の問題もない」のだそうだ。一体どこにそんなことが書いてありますか。

 この法律の条文が現実離れしていて、いづれは改正しなくてはならない、とはっきりいったらどうか、と思う。それまでの間は、「適正な」費用というのを拡大解釈してうんとふくらませ、結果として黒字が出ないような運用を認めます。しかし、そんな無理は長く続けるべきではないから、早い機会に改正しましょう、というのがあるべき姿ではないか。お役所がそれを言いにくければ、せめてお取り巻きの御用学者や業界団体関係者で骨っぽいのがいれば、その人がそういうコメントを出す、というのが当たり前だろう。

 それを、何が何でも「官」は正しい。「官」の無謬性は万古不易だとでもいわんばかりに、牽強付会も極まれりという詭弁を用い、かつ(これが最も恐ろしいところだが)それに対して批判の声が全く出ない、というのでは、この国の「新しい公共」なるものを、笛や太鼓で囃し立てても、所詮落ち着く先は見えた、というべきだろう。世論なるもの、官にとって耳ざわりが良いうちは聞き届けて使わす。そうでなかったり、そうでなくなったらこの限りではない、というのでは、ほとんど猿芝居だ。猿芝居でも良いから舞台に出たい、という面々に事欠かないから余計ことは面倒になる。

2010年 08月 09日



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