2016年3月10日
akira's view 入山映ブログ 経済政策
菅総理の「一に雇用、二に雇用、三に雇用」というのは、2009年米国雇用統計発表にあたって、オバマ大統領の首席補佐官ラーム・エマニュエルの言った「雇用、雇用、雇用(jobs, jobs, jobs)」を彷彿とさせる。(まさかパクリじゃないよね。)オバマ大統領も言ったものだ。「毎日、再度経済を活性化すべく努力しなくてはならない。多くのアメリカ人にとって、そして私にとって、それは雇用(jobs)を意味する。」
ところが、それから一年余。かけ声の割には実績に乏しいとオバマ政権の経済政策については批判の声が高いようだ。菅政権も、果たしてこの後どれほどの期間政権の座にあり続けるのか不透明だが、現在、そして近い将来の具体的な経済(雇用)政策については必ずしも明確にされていないように見受けられる。オバマ政権の経済政策とそれに加えられた論評の軌跡を振り返ってみることは、他山の石の効用があるかもしれない。
9月1日のワシントン・ポスト紙マイケル・ガーソンの論評は簡にして要を得ていると思うので、抜粋しながら紹介してみたい。彼は何よりも先ず、オバマ政権の政策関心が総花的で、焦点が絞られていない、と批判する。「マンハッタンのモスク、カトリーナ台風被災五周年、イラク・アフガニスタン、と、あちらの公園からこちらの小径へとさまよい、その途中、ケーブルテレビのあらゆるニュースに立ち留る。」そのくせ雇用政策については何も語らないのは、策がないからだろう、と手厳しい。(うーん。能天気な鳩のさえずりを思い出しますね。)
これまでのオバマ大統領の経済政策に対する言及は「もしこれほど予算を投入していなかったら、もっと悲惨な状態になっていただろう」というのだが、予算投入にあたっては、失業率8%を予想していたではないか(現在9.9%)。「こんな状態になっていることについて、私を批判しないでブッシュ政権を批判してほしい」なんと否定的で後ろ向きの発言だろうという(財政赤字についてどこかで聞いたような)。あげくの果てが「もう少し時間をくれ。そうすればきっとうまくゆく」なんと受動的で物悲しい言い方か、とばっさり切り捨てる。
オバマ政権が考えている更なる景気刺激のための支出増大は、国民大衆の受忍限度を超えているとして、非現実的だと一蹴。(小沢さんに聞かせたいね。)当面緊急の話題になっているのは、ブッシュ政権時代の2001年及び2003年の景気刺激策(減税)が期限切れになりかかっていることなのだが、オバマ政権は中小企業減税を強化し、富裕層に対する減税の部分を除いて踏襲しようとしている。これは共和党との「ねじれ」現象の中で、実現は必ずしも楽観を許さない、とも。このあたりも、日本にとって示唆に富む内容だ。
2010年 09月 03日