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2016年3月23日

akira's view 入山映ブログ 尖閣諸島

 尖閣諸島を巡って、中国が日本非難を強めている。外交部報道官の強い口調の非難の他、日本大使を深夜に呼びつけたり、観光団訪日中止、日本観光誘致グループの公演中止、日本観光団来日中止、閣僚級対話中止など、矢継ぎ早だ。日本のメディアは例によって、希望的観測を含め、中国政府の強硬姿勢は国内世論向けだ(裏を返せば、政府それ自体は本心から抗議している訳ではない)と言う論調が目立つ。そんな筈はないだろう。中国の尖閣諸島に対する関心はそんなに古いことではなく、1970年に海底石油資源が発見されてからのことで、それまでは全く関心を示していなかった。あの国の貪欲な資源外交を見れば、現に試掘井もさっさと建てていることだし、舌なめずりしながら領有権を主張していると見る方が当たるだろう。(ちなみに、台湾も一貫して領土権を主張し続けている。)

 日本は韓国とロシアとの間にも領土を巡る争いを抱えている。中国・韓国が言うところの歴史認識の問題と不可分の意識で、この領土問題をとらえ、ために政府がことさらにあおらなくても、簡単に反日運動に火がつく結果になる、というのは事実だ。領土問題は存在しない、という公式見解をとりつつも、陰に陽に日本政府はその背景の存在を意識してきた。もっともそれをいうなら、無条件降伏をして武装解除した関東軍の兵士、民間人あわせて40万人とも50万人ともいわれる日本人を理不尽に拉致。永きは20年にわたってシベリアその他の地域で劣悪な労働条件の下強制労働をさせた、というロシアに対する歴史的反感とて根強いものがある筈だ。

 それが存在するかどうかは別にして、領土問題はなかなか話し合いで円満解決、という訳には参らない。国際関係には強制力を持った司法手続きも存在しないから、一昔前なら武力による問題解決しかなかった。(もっともサッチャー首相によるイギリスのフォークランド問題解決はそんなに昔の事件ではない。)だが、日本のお相手3国との間でそれは現実離れした手法だろうし、せいぜいで毅然とした態度で海上保安庁か自衛隊のプレゼンスを露出する以外はあるまい。ロシア相手にはそれさえ出来ない、というから事実の重みというのは怖いものだ。だからこそ余計に既存の事実から退くことは出来ないことになる。

 日米安保がその既存の事実の枢要な一部であることは疑いをいれない。それを忘れて米国・中国との等距離楕円関係を説く論調などに乗ってはなるまい。民主主義政体を採る国とそうではない国との峻別をしばらく忘れたとしても、である。

2010年 09月 20日



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