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2016年3月25日

akira's view 入山映ブログ 尖閣諸島(2)

 那覇地検による中国人船長処分保留のまま釈放という決定は、内容も、タイミングも最悪のものであったと言わざるを得ない。この決定に政府が関与したか否か。官房長官は「検察独自の判断」だと述べているし、また、実態はどうであったにせよ、公式見解はそうあらねばなるまい。当初の中国政府の常軌を逸した反応に対して、中国は一党独裁で三権分立が機能していない。それにひきかえわが国では民主主義の大原則が機能している、と論評を加えた多くの識者やマスコミは、禁反言の原則からしても、政府の影響力云々を論じるべきではあるまい。

 日中関係を考慮して、違法行為が明白であるにもかかわらず釈放に踏み切った、というのは、言葉を換えれば、エスカレートする一方の中国政府の理不尽な反応に屈したと言わないまでも、相当な配慮と今後の対応への慮りが判断の根拠にあったということだろう。沙汰の限りである。粛々と国内法に従って処分を進め、それが外交的.政治的理由によって、保護されるべき法益よりも逸失する法益が大きい、と考えて差し止めるのは政治の仕事であって司法の仕事ではない。今回はたまたま外交問題だったが、国内政局に与えるかもしれない影響に鑑みて、検察独自の判断で政治家の起訴を猶予する、などということがあってよいのだろうか。

 諸外国、就中アジア諸国がこれをどう見るか、米国が(圧力を行使したかどうかは別にして)日本外交をどう評価するか、ひいては領土問題を抱える他の当事国がどう見たか、というのも忘れてはならない視点ではあろう。しかし、そうした二次的・三次的影響について論じるより前に、司法そのもののあり方が問われるべきだ。石油、希土類、貿易、観光収入、それが大事なことは論をまたない。しかし、それを仮に犠牲にしても守り通さなければならないものがあるのではないか。検察当局の判断に、証拠捏造で地に墜ちた信頼感が影響を与えたとは考えたくないが、こんなことでは検察に対する信頼はますます失墜する一方だろう。

 無理が通れば道理が引っ込む、という側面が現在の国際政局にあることを否定はしない。それについてこのブログでも何回が触れた。しかし、それを是認して迎合的な態度をとる、というはまた別論である。石原都知事に言わせれば「やくざのいいがかり」にも等しい言い分に対して、日中のハイレベルの政治折衝も何も起こっていないうちに一方的に腰砕けになったも同然の措置は、長く検察の汚点として残るだろう。体を張って取り締まりに当たっている海上保安庁の士気が、これによって衰えることのないように祈りたい。

2010年 09月 25日



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