2016年3月31日
若乃花・慶應・升田名人(3) 津村秀夫
相撲になるとそれほどでもない。しかし若乃花の勝負となると、テレビを見ていても瞬間的に息がつまってくる。若乃花には会ったこともないし、なんの因縁もない。それでいて好きである。今場所など取口が堅実になり、寄り身を身につけてあぶな気なく勝ち続けた。多少安心したが、あれが名実ともに無敵の横綱となる日を待望しているわけである。
真実に相撲が好物なら無理をしてでも蔵前の土俵を見に行くだろう。その気はなくて、テレビでたくさんである。野球はやはり神宮へ行かないと気がすまないから、これは相撲より高熱に違いない。しかし真実の野球のグイゴ味を楽しむなら、プロ野球の方がはるかに面白いはずである。そのプロ野球はテレビで見ることはあっても、後楽園へは行く気がしない。めんどうになるところをみると、ほんとうの野球好きではないのだろう。つまり若乃花にしろ、慶大野球部にしろ、特種なひいきの感情に支配されている。勝手に心配したり喜んだりしているわけで、つまりはアホウ心理である。おまけに天性の心配症なので、若乃花でも慶大野球でも負けやしないかと、いつも悪い方ばかりを気にしている。