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2016年4月1日

akira's view 入山映ブログ 強制起訴

 検察審査会の決定を受けて、小沢氏の進退がマスコミの格好のテーマになっている。中には勇ましく議員辞職すべしと社説に謳う新聞もあるが、こういう意見もある、ああいうのもある、と報じながら、何とはなくどちらか一方の意見を読者に刷り込む、というのが得意技とお見受けした。その限りでは、電車の中吊りでどんな面白い内容だろうと思わせる週刊誌の記事が、歯医者の待合室で読んでみると全くの看板倒れというのとは少し違うと言っても良いだろう。

 もっとも、これほど多くの政治家がハンコで押したように「推定無罪」を口になさるのを聞くと、刑事事件の有罪・無罪と政治家としての適格・不適格を混同なさっているのではないか、と疑わしくなる。小沢氏本人が意図的に混同なさるのはともかくとして、刑事事件が推定無罪なのは(日本ではそれとていささか怪しいのはともかくとして)高校生だって知っている。そうではなくて、これは前にも(9.11「民主党総裁選」)書いたが、政治団体がなぜ高額な不動産を購入する必要があるか、不動産が個人名義なのは法律の不備からやむを得ないにしても、購入代金の調達に当たって、極めて不自然なカネの動きがあったと報じられている真相はどうなのか。これら一連の事柄が刑事事件としての虚偽記載に当たるか否かは、それこそ司法が判断すれば良い。そうではなくて、「政治とカネ」をめぐっての不明朗さを払拭しようとする政治家ならば、公開の場での説明責任があるのは当然で、それをしない、というのは政治家としての適格性に欠ける、というのが論点であるべきなのだ。

 カネの出所が西松建設ではない、あるいは後ろめたいものではない、と本人がコメントしただけで政治家としての説明責任を尽くしたことになるとは誰も思うまい。それがまかり通っているところに不自然さがある。検察審査会の結論とは自ずから異なった問題の所在なのだ。それが、何とはなしの頬冠りで打ち過ぎてきているところにそもそもの問題がある、といってもよい。そんな明白な問題の所在さえ指摘できないというのでは、政治団体の高額資産保有、あるいは公私混同ともいうべき資金管理は誰でも多かれ少なかれやっていることで、なまし薮をつついて蛇を出すのがいやだとかばい合っているのではないか、とさえ疑われてもやむを得まい。

 政治がだらしなくて自浄作用がないのならば、司法がそれに代わりましょうか、という問題提起だとするみんなの党渡辺代表のコメントは(ことの真偽は別にして)かなり説得力があるもののように思われた。親小沢だ、反だなどとつまらぬレッテル貼りをしているのではなく、民主党内部からこの程度の常識的な論議が起こることを期待したい。議員を辞職したり、党を離れればそれで済む、ということではない。国会の場における追求という民主主義的手段を阻害するような問題決着は図るべきではない。

2010年 10月 05日



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